導入予定の更新制度とは
2026年6月24日
『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志
法改正で導入されるトラック運送事業許可の更新制度についてわかりやすく解説してみたいと思います。施行時期は法律の公布日から3年以内(2028年6月まで)とされており、今後政令や省令によって具体的な運用ルールが定められていく見込みです。5年更新制度は、単なる許可手続きの変更ではなく、法令遵守の徹底や安全管理体制の強化、多重下請け構造の是正やドライバーの労働環境改善など、物流業界が抱える課題の解決を目指す、業界全体の健全化と持続的発展に向けた構造的な改革としての役割が期待されているものです。5年ごとの更新制度は、一般貨物自動車運送事業(法人・個人事業主を問わず、この許可を受けている運送会社、緑ナンバーのトラックを使用し、他人の荷物を有償で運送する事業)の許可を受けて営業している事業者が主な対象です。5年更新制度は新規参入事業者だけでなく、既存の一般貨物自動車運送事業者にも適用されますので、現在営業している運送会社も将来的に更新審査への対応が必要になるため、早めの準備が重要です。
5年更新制度は、一般貨物自動車運送事業の許可を取得した後、継続して事業を行う場合、5年ごとに更新手続きが必要になる制度のことで、基本的な流れは、許可の取得後、日常の事業を運営、更新時期が来たら更新の審査を受け、問題なければ更新許可ということになります。これまでは、一度許可を取得すれば重大な違反や取消処分がない限り継続して営業しやすい仕組みでした。今後は一定期間ごとに事業者として適切な運営ができているか確認される制度へ変わります。更新時に判断材料とされる主なポイントは①輸送の安全確保、②社会保険料の納付、③適正原価の収受、④法令遵守、⑤従業員の適切な処遇などが考えられます。
更新審査では、安全管理・法令遵守・社会保険料納付・労働者処遇なども重要な確認項目となります。もし更新が認められない場合、一般貨物自動車運送事業を継続できなくなる可能性があります。荷主との契約継続や売上への影響も大きいため、更新直前に慌てるのではなく、日頃から適正な運営体制を整えておくことが重要です。今回の法改正は5年更新制度だけでなく、運賃の適正化や下請構造の見直し・違法業者排除まで含めた総合的な改革といえます。今後は許可維持だけでなく、日常の取引体制やコンプライアンス強化も重要です。5年更新制度は、単に許可の有効期限を設けるための制度ではなく、物流業界が抱える課題を改善し、将来にわたって安定した輸送体制を維持するための仕組みとして導入されます。4つの狙いがあるとされています。法令遵守、悪質事業者の排除、②安全管理体制の強化 ③適正運賃で適正競争の実施 ④労働環境の改善と人材確保の4点です。
物流業界では、長時間労働や休日取得の難しさ、低賃金などを理由に人材確保が難しい状況が続いています。特にドライバー不足は深刻で、今後の輸送体制維持にも大きく影響するでしょう。5年更新制度では、労務管理や処遇改善への取り組みも重要視される見込みです。働きやすい環境を整えることで、既存ドライバーの定着率向上や新たな人材確保につなげ、業界全体の持続可能性を高めることが期待されています。
5年更新制度では、更新時だけ整えればよいのではなく、日頃から適正な運営体制を維持しているかが重要になります。ここでは、事業者が今から進めておきたい主な対応ポイントを説明させていただきます。1.許可更新に必要な書類整備;更新直前に慌てて作成すると、記録漏れや不備が見つかるリスクがあります。日常業務の中で継続的に整備しておくことが大切です。2安全管理・点呼の徹底と記録;点呼やアルコールチェックは、安全運行の基本です。実施するだけでなく、正しく記録し保存することが重要になります。3.社会保険や労働時間管理の適正化;社会保険未加入や賃金未払いなどは、企業の信頼性を大きく損ないます。更新制度では、こうした基本的な労務管理も重要視される予定です。4.法令遵守体制の整備と違反防止;法令違反を防ぐには、問題が起きてから対応するのではなく、未然に防ぐ仕組みづくりが必要です。5.適正運賃・適正原価での受注体制;赤字受注や極端な低運賃での受注は、利益圧迫だけでなく、安全投資や人件費削減につながるおそれがあります。結果として事故リスクや離職率上昇を招く可能性もあります。燃料費や人件費、車両維持費などの原価を把握し、適正原価を踏まえた価格設定を行うことが重要です。安さだけで仕事を取る時代から、継続可能な受注体制への転換が求められています。6.内部点検・監査による継続的な改善;点呼や労働時間管理、点検こうした項目を定期的に確認し、必要に応じて外部専門家による監査やシステム導入も検討するとよいでしょう。更新時だけ整えるのではなく、継続的に改善する企業体質づくりが今後ますます重要になります。
5年更新制度への対応は、更新時期だけ整えればよいものではありません。これからの運送会社に求められるのは、安全管理・法令遵守・労務管理を日常的に適正運用できる体制づくりです。更新制度に対応するには、点呼やアルコールチェック、労働時間管理や社会保険や賃金支払いの整備、適正運賃での受注体制などは、更新審査だけでなく健全経営に欠かせません。また、制度を現場に根付かせるには、ドライバー1人ひとりへの継続的な教育も重要です。5年更新制度は、真面目に取り組む会社が評価される時代の始まりです。改正を機に、継続的に改善できる会社を目指しましょう。