インタビューリレー「物流企業はいま!」

若手ドライバー定着を最優先に / 荷主に現状説明し改善の理解を

物流企業トップに聞く ~物流企業はいま!(8)~
ILRS-NEWS Vol.406

 

トーヨー・ロジテック(株) 西岡 斉 社長

― 御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。

(西岡社長) 人の問題、とりわけ採用したドライバーを定着させることが最も重要な課題だ。従来は売上や営業を重視した視点で取り組んできたが、これからは人の問題を抜きにできないため60周年を節目に改善に着手し、徐々に改善をはかっている。具体的には適正運賃の収受に努め、ドライバーの賃金は前決算期で2.5%、今期5.3%、いずれも前年比でアップした。また、人材教育にも力を入れている。長距離ドライバーの平均年齢は48歳で、在籍者の定着率はよいのだが、若い人をどうやって定着させるかは待遇面を避けて通れない。事務方については、時間短縮と賃金是正を先行してやってきており、若手ドライバーにも効果を出していきたい。

― 昨年の運送約款の改定に対して御社はどのように対応したか。

(西岡社長) 待機や荷役について上下限を設定して届出をしたが、だから収受できるというものではない。荷主に改定の理由をしっかりと説明し、理解してもらわねば意味がないので、トラック協会のリーフレットを活用してなぜドライバーが不足する事態となったのか、物流が瀕死の状況に追い込まれている現状を説明している。当社は愛媛県内の製紙業との取り引きが多いが、他エリアと異なり手積みが多い。前後2時間ずつの荷役で10時間働くとなると、協力会社に受け入れてもらえず、今後の波動に耐えられない。荷主の理解を得るため、約款改定を含めいまの環境をしっかりと説明し、新規の契約には提示内容に見合った料金と手荷役を軽減するよう話している。

― 行政や業界に要望や訴えたいことがあれば。

(西岡社長) このように困難な現状を招いたのも自分たちが環境を作ったという認識が必要だ。今になってあたふたしているが、例えば補助金をあてにしてデジタルタコメーターの導入を決めたりした甘える構造があった。だから環境を打破するアクションを自身が起こさねばならない。荷主ともよい意味でのパートナーシップ関係を作るために、自ら行動を起こしていくことが必要だ。今、まさに岐路に立っているので、競争は競争、協業は協業という意識を強く持って、荷主ともWIN/WINの関係を構築していきたい。
(聞き手:葉山明彦)


トーヨー・ロジテック株式会社
愛媛県四国中央市村松町88番地

代表取締役社長 西岡 斉
ホームページ http://toyo-logitec.com/

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