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ルネサスエレクトロニクス ロジスティクス改革推進 海外倉庫開設でLT短縮

日刊CARGO 2018年10月19日掲載

 

半導体大手のルネサスエレクトロニクスはロジスティクス改革に取り組んでいる。海外販売、生産が伸長する中、昨年5月にはマレーシア・クアラルンプール、今年1月には中国・上海にディストリビューションセンター(DC)を開設。従来、海外顧客向けの海外生産品は、日本のDC経由で納品していたが、新たな海外DC活用でリードタイム(LT)を大幅に短縮した。自動車の電子化やIoT(モノのインターネット)関連製品の普及もあり、半導体業界を取り巻く物流ニーズは多様化し、急速に変化している。台湾でのDC開設も視野に入れるなど、さらなる改革に取り組む。

同社の主な海外後工程生産拠点は、中国の北京、蘇州、マレーシアのクアラルンプール、ペナンにある。海外での後工程生産委託会社は両国のほか、台湾、フィリピンにもある。

従来は売上高に占める海外生産比率が低かったこともあり、海外生産品は一度、日本国内3カ所のDCに輸入後、海外顧客向けに再輸出していた。ただし、現在、売上高に占める海外生産比率は約5割となり、中国生産品の約7割とマレーシア生産品の約5割が海外顧客向けとなっている。海外生産比率と販売比率が伸びる中、顧客接点の重視、LT短縮、物流費用削減による競争力向上を図るため、約5年前からロジスティクス改革に着手していた。

改革の第一弾として、マレーシア・クアラルンプール国際空港の自由商業地区(FCZ=Free Commercial Zone)にDCを開設した。郵船ロジスティクスのマレーシア現地法人、TASCOが運営しており、昨年5月に稼働。同DCには同国内生産品に加え、フィリピン生産品も集約している。同DCはトラックで、ペナンから約7時間、クアラルンプールから約1時間の距離にある。

改革の第二弾として、中国上海浦東国際空港の自由貿易試験区内にDCを今年1月、本格稼働させた。同DCは日通NECロジスティクスが運営する。
 両DCには、半導体の特性に沿ったハンドリングを行うため温湿度管理設備も導入した。また、生産工場からの出荷につき再生利用可能な通い箱の利用も進め、工場側の負担も軽減した。両DCの開設により、トータルでのLTは従来に比べ、3~4日短縮した。

海外生産比率と販売が増える中、両DCとも、輸出まで非居住者在庫として、ルネサス本社に資産計上される点もメリットとする。

国際物流では、LTと品質重視の観点から全量、航空輸送を活用している。両DC開設に伴い、フォワーディングについて、入札で物流事業者を選定した。日系フォワーダーとインテグレーターを召集し、製品特性の観点から、オンタイム性と品質を重視し、複数事業者を選んだ。マレーシアは郵船ロジスティクスと日本通運、中国は近鉄エクスプレスと郵船ロジスティクスとした。

<SCMで新組織>
ルネサスエレクトロニクスはアナログ半導体メーカーの米インターシル買収完了を受け、昨年7月、成長加速に向けた組織改正を行った。3事業本部にセールス・マーケティング部門を編入してさらなる強化を図るとともに、サプライチェーンマネジメント(SCM)本部を新設した。従来、各事業本部に分散していたサプライチェーン(SC)関連機能を集約し、生産から調達戦略まで、組織横断型かつグローバルでSCMを担う体制とした。

川嶋学執行役員常務兼サプライチェーンマネジメント本部長は「半導体業界は短期で目まぐるしく需要が激変するが、一方で投資スパンや供給も長期化する。短期的にはお客さまの需要に基づき生産・調達計画を立案し、製品受注後に生産するという安定供給のためのSCを実行するとともに、並行して生産戦略、設備投資などの中長期的なSC戦略を立案していく」と語る。


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