インタビューリレー「物流企業はいま!」

事業承継、指導受けて準備 / 道交法と車制令は一本化を

物流企業トップに聞く ~物流企業はいま!(19)~
ILRS-NEWS Vol.430

 

セイコー運輸株式会社 清水浩一 社長

― 御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。

(清水社長)事業承継の問題だ。当社が加盟している、ある意味身内でもある埼玉中央輸送組合で老舗の組合員が承継問題でM&Aを実行したこともあり、3年前の当組合のテーマとして取り組んだ。㈱事業パートナーの松本光輝先生にご指導をいただき、各社悩み事は違うと考え、顧問契約を結び窓口を開放して相談し易い環境を作ったところ、予想外に一年間で20社中6社が相談していた。

当社の場合、私の次女が大卒後に入社させて7年たち、一般的に事業承継は債権も含め考えると、他人に責任を負わせる訳に行かない観点からも身内に継承することが最も良いと思うが、本人の技量で社員が幸せにできるか確信が無く、優先順位をシュミレーションしてみた。1番目は身内の次女か配偶者、2番目はプロパーの社員、3番目は外部から来てもらう人、4番目は売却(M&A)という順序となった。

昨年この計画を立てて5年から10年かけて人を育てていくことを社内でも公表し、少しずつ進めているなかで、松本先生のご指導は、もし娘を後継者に据えるなら、経営者になるよう同業者でなく別業種で学ぶべき、なぜなら経営者は社員に業務を任せ、社長は人間学を学び人脈を作るべきということで、外部に出すよう考えている。

社員は35人、幹部は5人、管理職の複数が将来を意識してくれており、私としては社長になる条件として、経営者としての自覚の意味で数百万円程度の株式を私から身銭で購入保有させることを考えている。なぜなら万が一倒産させた時は身銭をドブに捨てることになる訳で、そういった覚悟の意味で身銭を出させようと考えている。現在のところ1、2番目が順調に推移しているので、3、4番目は意識していない。

― 昨年、運送約款の改定があったが、御社としての対応は

(清水社長)改定約款は期限内に届け出した。ただ、ここまでは助走期間でこの先、お客様に荷待ち時間や積み降ろし作業料金などご理解いただけないと実効性がない。お客様自ら具体的に動いていただくには国や各省庁などから指導していただかないと、なかなか進まないと考える。ただし、中小零細運輸事業者は過半数が下請で、お客様は元請の運送会社のケースもあり難しい点も多いと考える。

そういった業界の体質も含め問題は根っ子にあると考えるが、時代背景を考慮すると今回の約款変更を機に動き出すのは間違いないと期待している。

― 行政や業界に対する要望および意見などあれば。

(清水社長)道路交通法とNEXCO(高速道路会社)の車両制限令の基準が異なり、不都合が生じているため同じ内容にしてほしいと思っている。具体的には道路交通法では車長1割以内なら出しても大丈夫なのに、車両制限令では1cmでも出ると違反になる。もしはみ出した時は高速道路を使えず下道を走るため時間も多くかかってしまう。違反すると最悪の場合、組合の高速道路利用事業が成り立たなくなり、組合のみならず各社が大きな打撃を受ける。50年前の東京五輪の時に突貫工事で作った道路が老化していることもあると思うが、基本的には道路構造が現在の大型車両の重量に耐えられないのではないか。いずれルールを作る時はシンプルかつ使い易くして頂きたい。

政府方針の働き方改革で2024年には時間短縮が我々運輸事業者にも適応されるが、実現させる一つの手段として道路交通法と車両制限令の整合性を図っていただくなり、絵に描いた餅でなく実態に則したルール作りをしていただきたいと願っている。
(聞き手:葉山明彦)


セイコー運輸株式会社
埼玉県大里郡寄居町桜沢1370-4

代表取締役 清水浩一
ホームページ http://www.seikoo.jp/

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