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ONE・ニクソンCEO 積み高問題は克服「来期黒字化へ」

日刊CARGO 2018年11月29日掲載

 

オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)のジェレミー・ニクソンCEOは27日に事業説明会を開催し、2019年に向けたコンテナ船事業環境の見通しと業績回復への取り組みを説明した。ONEは事業開始後のサービス混乱で積み高が減少し、今期は6億㌦の損失を見込む。ニクソンCEOは「混乱で生じた損失は約4億㌦。しかし積み高と消席率は既に回復しており、来期以降は繰り返されない」と説明。積み高が当初の目標にほぼ達したことを受け、今後は航路改編や貨物ポートフォリオの入れ替えを加速し、「19年に利益が出る体制に持っていく」と語った。また20年発効のSOx(硫黄酸化物)排出規制を受け、新たに「OBS(Ocean Bunker Surcharge)」を導入。「荷主とは個々に協議を行っており、前向きな反応を得ている」と語った。

ONEは当初、事業開始初年度で1億1000万㌦の黒字を目標に掲げていた。しかし、3社体制からの移行に伴う業務やサービスの混乱により、積み高やシェアが当初想定を大きく下回った。この結果、上期(4~9月)業績は3億1100万㌦の赤字となり、通期では6億㌦の赤字を見込むなど大幅な下方修正を余儀なくされた。

ただ、大幅な減益の要因となった積み高の減少と消席率の低下は、足元で解消のめどが立ちつつある。実績によると、北米航路と欧州航路は往航でともに90%台後半を回復。復航も業界の平均レベルには達しつつあり、北米復航では採算性の高いリーファー貨物でシェアトップの座を守っている。アジア域内ではまだ消席率が目標値に届いておらず、復航でも今後、継続的な改善が必要ではあるものの、実力では競合船社に劣後しない体制が整ってきた。ニクソンCEOは「積み高減に伴う4億㌦のマイナス効果は一過性のもの。今年度下期は、国慶節や旧正月に伴う例年の市況変化や米中間の貿易摩擦の影響などでまだ損失を見込むが、来期からはこのマイナス分が消え、さらに構造改革効果を合わせて黒字化を目指す」と話す。

4億㌦相当の減益要因解消に加え、構造改革としてサービス・プロダクトや貨物ポートフォリオの最適化などを通じて黒字化を目指す。もともと初年度は、サービス体制や貨物構成、一部組織などを3社体制からほぼそのまま引き継いでいた。これをONEとして契約更改に臨む19年度に向け、コスト競争力や貨物採算をベースに最適化を進める。ザ・アライアンスとして提供する東西基幹サービスでは、サービス体制の見直しによるシステムコストの引き下げに加え、積み高や消席率が巡航速度に乗りつつあることを受け、集荷面でもイールド重視の集荷体制がより整うこととなる。

また、ドキュメンテーション業務などを担う海外のオフショアセンターについても集約化を図るなど、社内組織についても最適化を進める。サービス・プロダクトが最適化されることで、大きなコスト増要因である燃料費も削減効果を見込んでいる。ニクソンCEOは「統合による10億㌦超のシナジー効果は、積み高の未達で初年度は期初目標を下回ったが、それでも75%の現出を達成できる。3年間で着実に達成し、競争力を高めていく」としている。

▽市況見通し、中長期で安定
事業説明会でニクソンCEOは、コンテナ船業界の事業環境についても説明した。

事業環境を大きく左右する需給バランスについては、今後、中長期的にバランスする見込みだ。19年の需要伸び率は4~5%増が見込まれる一方、船腹供給量の増加率もほぼ同程度で推移する見通し。これに加え、「世界の全船隊に対し、稼働していない待機船の比率は1%程度まで低下し、グローバルレベルで需給がタイトになっている。発注残も歴史的な低水準で推移しており、当面の需給環境は安定化に向かうだろう」と予測した。

政治的混乱による事業環境への影響としては、「英国は欧州域内での依存度が比較的高く、ブレクジットがコンテナ船市況全体に与える影響は限定的だろう」と指摘。米中間の貿易摩擦に伴う影響については、「中国への依存度が高く、調達先の変更は限定的にとどまると予想されるが、それでも来年以降、調達ソースの多様化が進むだろう」と指摘。ただ、トレード全体で見ると、米国は輸入の6割超が中国出しであるのに対し、ONEの貨物ポートフォリオでは中国出しのシェアが5割にとどまり、より東南アジアのシェアが高い。米国発輸出でも同様の傾向があり、米中貿易摩擦の影響は「より受けにくい体質になっている」と語った。

また、海運業界全体で大きな課題となっている20年発効のSOx規制については、ONEはガイドラインなどを公表していないものの、既に個々の荷主と協議を開始している。ONEが主に使用する低硫黄燃料は、現在の燃料に比べトン当たり250㌦前後高額になる見込み。ニクソンCEOは「サプライチェーン全体で広く負担していく必要がある。来年度からサーチャージとしてOBSを導入する方針で、荷主企業からはその必要性を理解し、前向きに捉えてもらっていると認識している」と語った。


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