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日立物流/佐川急便/DMM 3D印刷で協業 JIT構築目指す

日刊CARGO 2018年12月13日掲載



今月4日からサービス運用を開始した。DMMが展開する3Dプリントサービス「DMM.make3Dプリントサービス」の生産拠点を、日立物流の京浜物流センター(東京都大田区平和島)内に設置した。3社の役割は、▽DMM=3D造形物管理(受注・生産・検収など)▽日立物流=造形物の出荷工程業務(仕分け・洗浄・仕上げ・梱包など)▽佐川急便=生産拠点からの配送サービスの提供--とした。DMMの同サービスの生産拠点は現在、石川県加賀市に1拠点ある。今回、都内での生産拠点開設により、首都圏への短期納品を実現する。

DMMは、モノづくりのためのプラットフォームを運営し、産業用の3Dプリンターを複数導入している。法人などからの需要が多い、プロトタイプや保守パーツの造形に適したプリンターも備える。複数の素材を用い、ゴムのような柔らかい素材、硬い素材、耐熱性の高い素材を出力している。

DMMは今回の試験運用期間後、より顧客のニーズに沿ったプリンター機種の導入を進める。日立物流の物流センターでの生産設備の拡充に加え、顧客の納品先に最も近い立地での生産拠点の展開も検討する。日立物流と佐川急便の両社拠点ネットワークの活用により、最適拠点における少ロット生産、さらなるリードタイムの短縮など、顧客のより高いニーズに対応する。

3Dプリント技術の物流サービスへの導入については、世界ではUPSが先行している。UPSアメリカの完全子会社であるThe UPS Storeが2013年7月、全米をカバーするリテーラーとして初めて3Dプリンターを活用したサービスを開始した。また、UPS傘下の投資会社「The Strategic Enterprise Fund」(SEF)は3Dプリンターを利用したメーカー、CloudDDM(本社=米国ジョージア州アトランタ)に出資。15年5月からCloudDDMはUPSがルイビル国際空港に構える米国のメーンハブ「ワールドポート」に拠点を構えて、事業を開始している。UPSのネットワークも活用し、6時間もあれば印刷から納品まで行えるという。

UPSはまた、16年5月にビジネスソフトウエア大手のSAPと、技術開発とその推進について提携し、インターネット経由の生産受託・配送サービスを始めると発表した。自社のグローバルネットワークと産業機器メーカーのFastRadius社(本社=米国ケンタッキー州ルイビル)のオンデマンド生産プラットホームおよび3Dプリント工場を結ぶ「オンデマンド製造ネットワーク」を構築。SAPのシステムと合わせてエンド・ツー・エンドのサプライチェーン・ソリューションを提供している。同年には拠点をシンガポールにも開設した。

日系では17年1月、ヤマトホールディングス傘下のヤマトシステム開発が、同グループの基幹ターミナルである羽田クロノゲートに3Dプリントの製造請負拠点を開設すると発表した。オーダーメードで少量多品種の製造が必要な治療用装具、医学模型市場の需要にまず対応するとした。同月にはまた、日本通運が3Dプリントのプロバイダー、カブク(本社=東京都新宿区)とデジタル製造受託サービスにおける物流分野での業務提携基本合意書を締結している。


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