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UPS リアルタイムデータ、AI駆使 スマートロジを世界展開

日刊CARGO 2019年2月20日掲載

 

UPSは「グローバルスマートロジスティクスネットワーク」の開発、整備を積極的に進めている。「世界で最も壮大なオペレーションズ・リサーチ・プロジェクト」とも呼ばれる、配送ルート最適化システム「ORION」は米国での導入に続き、カナダ、ドイツ、英国での試験運用を開始した。リアルタイムデータ、人工知能(AI)、機械学習などの技術を駆使したネットワーク、施設最適化プロジェクトも続々と立ち上がっている。デジタルと物理的フィジカルを結び、効率化に加え、さらなる正確性とスピードのメリットを顧客に提供していく。

同社の「グローバルスマートロジスティクス」は、デジタルとフィジカルで結ばれた施設、輸送機器、情報システムを指す。主な取り組みは①ネットワークの最適化②施設の最適化③配送ルートの最適化④配達の最適化--の4分野。

①では、「NPT(ネットワークプランニングツール」で、航空・陸上・鉄道などの輸送ルートや施設運営運用を最大限に効率化し、集荷から配達までの一連の貨物の流れを最適化する。段階的な試験運用を行い、2020年に米国で導入する予定だ。高度分析、AI、数学や統計学を活用したオペレーションズリサーチ(OR)を駆使し、貨物フローとハブオペレーションフローの最適化を一つのツールで行う。日々のネットワークの最適化を実現し、貨物の急な増加や仕向地変更などにもスムーズに対応する。米国では1日当たり最大6000万個の小口貨物の取り扱いを最適化する。

②の「EDGE」は20以上のプロジェクトで構成しており、15年に開始した。リアルタイムデータを使用し、施設内でのリアルタイムな意思決定の質を高める。作業員に貨物がどこでどのように仕分けされるべきかを指示、瞬時に必要なアセットを特定する。

17年には、同プログラムの一環として、「プリロード・スマートスキャン」を開始した。集配車にビーコンを設置、積み荷係が間違えた車両に貨物を積むことを防止するものだ。各プログラムの全面展開時には2億~3億㌦のコスト削減を見込む。

③の代表的な取り組みの「ORION」は、顧客情報、ドライバー情報、車両情報を集約、解析し、最適な配送ルートを導き出すもの。集配車両には200個以上のセンサーがあり、ドライバーの状況などを把握している。16年に全米に導入。17年に海外展開を予定する。年間ベースで運送関連費用などを3億~4億㌦を削減する。

一方、ORIONの飛躍的なアップデートとなる「UPSNav」の開発も進めている。これはドライバーの携帯端末「DIAD」にインストールされるナビゲーションツールだ。ORIONのマップをベースに右左折のタイミングや、建物や敷地のどの位置で停車するかといった詳細な指示を出す事が可能だ。ORIONは今年、アップデートする予定であり、これを受けて、UPSNavは渋滞や、配達状況、集荷依頼状況などを考慮し、リアルタイムで配送ルートを計算・修正できるようになる予定だ。

昨年導入した新たなツールでは、「HEAT(ハーモナイズド・アナリティクスツール)」がある。1日10億個以上のデータを収集・分析し、貨物のフローや物量、配達状況などを効果的に予測する分析ツールだ。重量、形、サイズなどの貨物データのほか、天気や顧客データなどが対象。

同ツールの活用で、より精度の高い予測分析に加え、集配や仕分けの現場では、予測された物量に応じてスタッフの配置調整が可能になる。18年に導入開始し、今年はさらに機能を高める予定だ。

一方、一般的に物流業界では、eコマース(EC)市場の拡大なども背景に物量に応じた人員体制を確保する重要性が高まっている。同社は、繁忙期に5万人以上採用する期間配達員向けのモバイルデリバリーアプリを開発。スマートフォンにインストールすることで、UPSの常勤ドライバーが使用する携帯端末DIADのような機能を使用可能となる。

「DSI(ダイナミック・ソート・インストラクション)」には新入社員や期間作業員向けの仕分け業務支援ツールがある。作業員は携帯電話ほどのサイズの端末を携行し、小型イヤホンを装着。貨物をスキャンすると、ブルートゥース機能により、音声でその貨物の処理方法が指示される。40時間相当のトレーニングの削減を可能とした。


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