経営者インタビュー「物流最前線をみる」

働き方改革厳しくも実現が発展の道、女性大型運転手生まれ社内活性化

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(7)~
ILRS-NEWS Vol.455

 

株式会社マイシン 辻 直樹 社長

御社にとって重要な経営課題は何か。

(辻社長)人手不足だ。愛知県は製造業が盛んで積極的に採用活動を行っているため、有効求人倍率がかなり高くなっており、全県規模で人の取り合いになっている。人材流出の防止も急務だ。当社の場合、女性ドライバーを多く採用していて、女性は安定しているのだが、男性ドライバーは入れ替わりがある。路線の下請けなど、件数が多く細かい作業が必要な仕事が嫌われている。

このため業務内容を見直し、件数を減らしてチャーター貨物を増やしている。午前中はバラ貨物、午後はスポットの横持ちなどして1日の生産性向上をはかっている。働き方改革による残業時間短縮は、来年から製造業で導入され、運送会社は5年後だが、まだ5年あると思ったら人は来なくなる。1年でも早く働き方改革に沿って時短をはかり、異業種からも人が来るようにならないと厳しい。残業時間を80時間以内にすればよいと思わず、もっと短くしてドライバーを確保しなければ成り立たない。

― 働き方改革についての感想は。

(辻社長)私としては大賛成だ。運送業界は給料が平均より2割安く、時間が2割長いと言われている。国から残業時間を年720時間以内にせよと言われても、集荷を早く終わらせ、荷待ち時間を少なくしなければできない。しかし、これができた会社ほど人が集まってくる。だから残業が月80時間を超えないよう社内の安全衛生委員会が毎週管理し、時間が増えそうになると配車を外し、配車係が事前調整できなければ最悪の場合は仕事を断ることもやむ無しと考えている。有給休暇の取得は他社がしっかり取れていれば、社員は当然そういう会社に行きたがるし、当社も取れるようにしないと発展しなくなる。やれないではなく発想を変えてどうやるか、いい会社をめざすにはやっていくしかない。

― 御社として安全対策はどのように行っているか。

(辻社長)時間対策への取り組みは、配車、営業、管理の三位一体の安全衛生委員会を毎週火曜日に開いている。デジタコから時間を抽出し、1週間で何時間乗務したのか検証したのち、平均値より長い場合には、原因は荷待ちなのか、配車なのか検証して、荷待ちなら営業から顧客に言ってもらい、配車なら配車係がドライバーを他に切り替える。事故につながる細かい仕事を減らしたので事故は減った。このほか毎週土曜日にリーダー会議を行い、2か月に1度外部講師(プロテキューブさん)の指導を受けている。また毎月のミーティングでは幹部がアドバイザーとなり小集団の教育研修を行っている。部品ドライバーは毎日決まった貨物とルーティングなので事故がほとんどないが、路線は毎日朝にならないと便数がわからないこともあって、事故ゼロということがなく、いかにゼロに近づけるか努力をしている。大型トラックには安全装置を次々と導入しており、なるべく早く全車入れ替える。設備投資で安全性がコントロールできるものはどんどんやっていきたい。

― 御社は女性ドライバーの採用を先駆けて行い、成果を収めてきたが、近況は。

(辻社長)女性ドライバーの増員策をとってから5年経ち現在35人となったが、このうち5人が4トン車から大型にステップアップした。それを見て他の女性もやりたいと希望し今は訓練中も含め8人となり、大型を増車した。流れができると社内的にも活性化し、次の段階に来た。一方、新人でドライバーを希望する女性の8割は未経験者で、中には事務員で入社したが、トラックに乗って活躍する女性ドライバーに触発され、ドライバーへ転身したものもいる。このためマーケットサイズには小さい2トン車も、準中型の前の訓練兼用にオートマティック車、マニュアル車とも残している。
(聞き手:葉山明彦)


株式会社マイシン
愛知県豊橋市神野新田町字トノ割15-1

代表取締役社長  辻 直樹 
ホームページ https://www.maishin.jp/

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物流会社がいま何を問われ、何を最重視して取り組んでいるのか。また、安全対策は…、社員教育は…。いま直面する問題にどのように対応しているのかを経営者に直接インタビュ-し、生の声をお届けします。

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