経営者インタビュー「物流最前線をみる」

情報収集・分析のIOT化を 一律規制する働き方改革は疑問

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(14)~
ILRS-NEWS Vol.469

 

有限会社館林運輸 吉田社長

御社にとって重要な経営課題は何か。

(吉田社長)これから、全てにセンサーがついて(IoTモノのインターネット)大量なデータが集められるようになる。我々はラストワンマイルのデリバリーもやっていて、荷主の一次情報にたくさん接しているのに、従来からデータ収集し有効活用することをやってこなかった。情報収集力、分析力を高め、未来に向けた経営資源にしていくことだ。トヨタ自動車とソフトバンクの業務提携では、一次情報を集めては分析して当たりまえに未来を描いている。我々中小企業もアナログだけでやっていては、発展は見込めず、それに気づきどうやって収集、分析し、販売やトレーサビリティー、安全や渋滞、合理的輸送など未来に向けた経営資源作りを意識的にやっていかねばと思っている。外に出ている限りいろいろな庭先情報があるので、もっと荷主の中に入り必要な情報を意識的に収集しIoT化し、予測検証の PDCAサイクルを作っていきたい。

― 働き方改革が進められているが、この対応と感想は。

(吉田社長)こんなに“働くな”“平等に仕事しろ”と言うのなら、日本は、何をめざして、国家をどのようにデザインし、どこに向かうつもりなのかを政府はもっと明確にするべきだ。労働時間を短縮しても生産性が上がらないものはたくさんあり、今回の働き方改革はみんなが納得しているとは思えない。国は一律に同じレベルで規制しようとするが、長時間働いて稼ぎたいという人は現実にたくさんいて、ダブルワークで夜間仕事をしている。そういう人は事業家になればよいというなら、今日現在、起業家を育て、リスクに果敢に挑戦する人を応援するつもりがあるのか全く伝わってこない。また他国から、希望を抱いてきてくれる労働者に対して長期的・発展的なビジョンが全くない。努力して、成功し、世の中に認められたいという人間の根本的な欲求を抑えて、政府がコントロールしようとすることが、国民を幸せにすることに繋がるのか大いに疑問である。

― 業界に何か言いたいことがあれば。

(吉田社長)運送業界は会社数にして6万2~3000社、売上規模で15兆円規模。物流全体では50~60兆円あるとも言われ、物流が止まったら経済も麻痺するような中心的な産業なのに、政府に働きかける力を持つ意思もなく、研究・開発を担う専門的で世界的なシンクタンクもなく、補助金をもらって何年も同じことをやっているように映る。もっと現場に根ざして未来に向けた業界のグランドデザインが欲しいし、業界全体の質を向上し、イメージを上げ、やる気のある良い人材が集まる業界にしなければならない。そのためによい方向に導くロビー活動もやっていただきたい。現実的な意味では、生活物資を運んでいる車を優遇し、例えば高速道路の左レーンを優先走行できるとか、渋滞で遅れたら高速料金は取らないなどの制度を導入してほしい。運用面ではAI(人工知能)やIoTを駆使して積載率を上げたり無駄を予見するなどして、物流は本当は儲かるので、みんながどんどん喜んで働いて、生活を向上し幸せになる環境を自ら創り出し、社会に貢献していきたい。

(聞き手:葉山明彦)


有限会社 館林運輸
群馬県 邑楽郡 邑楽町赤堀3234−3

代表取締役社長  吉田 直記 
ホームページ https://www.tatebayashi-exp.com/

経営者インタビュー「物流最前線をみる」

経営者インタビュー「物流最前線をみる」

配信頻度:隔週
物流会社がいま何を問われ、何を最重視して取り組んでいるのか。また、安全対策は…、社員教育は…。いま直面する問題にどのように対応しているのかを経営者に直接インタビュ-し、生の声をお届けします。

経営者インタビュー「物流最前線をみる」一覧へ
当社へのお問い合わせはこちら