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国交省・飯塚物流政策課長着任会見 「ツール駆使しニーズに対応」

Daily Cargo  2019年9月11日掲載

 

国土交通省総合政策局の飯塚秋成物流政策課長は10日、同省で着任会見を開き、抱負を語った。同氏は労働力不足や事業継続計画(BCP)対応などの物流を取り巻く課題について触れた上で、先端技術の活用や「スマート物流」の取り組みなどを通じて生産性向上を図っていくとともに、「あらゆる輸送ツールを最大限活用し、現状で求められる物流ニーズに対応していくことが重要だ」と述べた。

会見要旨は次の通り。

<就任の抱負>
eコマース(EC)市場の拡大で、配送の小口多頻度化など新しい需要が生じている一方、トラックドライバーなど労働力不足が大きな問題となっている。安全性を発揮しつつ、生産性向上を図っていかなければならない。

7月1日付で物流政策課長に着任して約2カ月。物流業界では各事業者がそれぞれに課題を抱えているが、各事業者の取り組みだけでは限界がある。行政の役割についても考えていきたい。

<注力する事柄>
生産性の向上に向けて、次の3点に注力する。1つは、物流総合効率化法の枠組みの中で、連携を一層促進していく。物効法支援事業については、来年度予算の概算要求でも拡充要求した。物効法で認定されるのは「輸送網の集約」「輸配送の共同化」「モーダルシフト」と認識されていると思うが、これらに限定されるものではない。物効法にも明記している。発着荷主との連携、倉庫内の効率化なども対象だ。現在、告示改正の作業を行っており、改正後はその点を明確化する。

2つ目は新技術の活用だ。国民生活を支えるためには、サプライチェーン(SC)の最適化が不可欠であり、現在、物流の在り方を根底から変える新技術が出てきている。例えばドローンについて、過疎地域などでの輸配送の効率化が期待できる。

3つ目は内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環である「スマート物流サービス」の構築だ。物流の見える化、データを共有・利活用することでSCの全体最適化につなげる。物流・商流データ基盤を構築するとともに、自動データ収集技術の開発を行う。データを収集し、多くの関係者が利用できるようになれば、物流の標準化・平準化につながるだろう。産官学の、オールジャパンのプロジェクトとして取り組んでいきたい。

<BCP対応>
直近は海事局内航課長を務めていた。その中で、船舶を利用した災害対応なども検討してきた。前年の関西国際空港の台風被災の際も、船舶を活用した例もある。幅広く、いろいろなツールを使って災害に備えることが重要だ。訓練も実施し、災害に強い物流を作っていきたい。

<人材育成>
先に注力する事柄を3つ挙げたが、人材育成も重要だと考えている。現場の人材不足だけでなく、物流を管理する人材も育成しなければならない。欧米ではチーフ・ロジスティクス・オフィサーといった役職もあり、重要なポジションと認識されている。SCを全体最適するためには、システムの知見も必要だろうし、高度なマネジメント能力が必要となる。優秀な人材に魅力ある業界としてみられるよう、取り組んでいく。


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