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プロロジス 入居企業の雇用確保で課題に対応 日本法人設立20年 ソフト面強化

Daily Cargo  2019年11月5日掲載

 


プロロジスは世界的に物流現場での人手不足が課題となる中、運営する物流施設のテナント企業の雇用確保や省人化に力を入れている。昨年はカスタマーサービスの向上と、地域社会の活性化に向けた取り組み「コミュニティ・ワークフォース・イニシアチブ(CWI)を開始した。米国では地元の高校生などを対象に就業トレーニングを行うなど地域の雇用機会創出に貢献している。日本ではスタートアップ企業などとの協業で、付加価値を提供している。日本法人は今年で設立20年。物流不動産市場では、日本企業などの台頭も目立つ。日本法人の山田御酒代表取締役社長は「ハード面は各社同じようなスペックになってきた。当社はソフト面の提案を強化していく」と語った。

先月31日、来日したハミード・R・モガダム会長兼CEOと日本法人の山田社長が都内で会見した。

モガダムCEOは「日本に限らず、世界各地で雇用確保が課題になっている」と話した。同社では、顧客の雇用確保の支援に向けて、現在、物流施設の作業員のスキル向上に向けたカリキュラムの開発などを実施している。テナント企業などとの協働で、推進している。また、昨年はCWIを立ち上げ、ロサンゼルス、シカゴ、マイアミの三都市でワークショップなどを開催した。ロサンゼルスでは、高校生を対象にジョブスキルワークショップやトレーニングを提供し、年間で300人が参加した。シカゴでは、18~30歳を対象に3週間の就業トレーニングを実施し、就職に直結する実践的内容を教えた。マイアミでは、最新鋭のラボを開設し、高校4年生を対象に実践的な学びの機会を提供した。モガダムCEOは「テナント企業の雇用確保支援は重要な役割だ。今後、世界的にも取り組みを拡大していきたい」と話した。

日本事業については、山田社長が「人を使わない物流施設の提案も必要だ。先進的な企業とのコラボレーションでニーズに応えていく」と意欲を示した。同社は、これまで施設のアメニティの充実などに力を入れてきた。今後は、さらに労働力確保やラストワンマイルの支援など、ソフト面にも注力する。現在、物流サービス事業を手掛けるsoucoとの短期・小スペースの倉庫のシェアリングや物流スタートアップのウィルポートとのラストワンマイル支援、離職防止ソフトウエアの開発を手掛けるテガラミルによる雇用継続サポートなどを提供している。今後はさらに、庫内オペレーションの可視化に関するサービス提供も予定している。

また、同日は求職者と企業をマッチングするアプリケーション「タイミー」を展開するスタートアップ企業タイミーへ出資を行ったと発表した。同アプリケーションは空いた時間で働きたい人材と、単発バイトを効率的に集めたい企業をマッチングする。プロロジスは、テナント企業にタイミーのサービスを提供し、テナント企業がアルバイト人材の募集に投じる費用や面接にかける時間の削減に貢献する。同サービスではさらに、物流施設において単純作業を単発バイトの人材が担うことで、長期雇用人材の負担軽減や離職率の低下にもつなげる。

そのほか、プロロジスは機械化による省人化も推進する。提供中のコンサルティングサービスでは、マテハンのレイアウト評価や大規模センターの立ち上げ時の作業手順の決定、現場環境構築、マテハンテスト、稼働後の運営アセスメントなどを行う(表参考)。ハード面だけでなく、同社のノウハウを生かした倉庫内のオペレーションの構築も提案する。

■日本法人設立20年、付加価値を提供

日本法人は今年で設立20年を迎えた。これを機に、日本法人では「一般財団法人プロロジス財団」と物流業界において将来的に活躍できる人材の育成を目的とした「プロロジスアカデミー」を設立した。

プロロジス財団は今年5月に設立。9月には、児童養護施設を退所した大学生を対象に就職活動を支援する奨学金制度「プロロジス就活応援奨学金」を創設した。今後は、物流関連学部の大学・大学院生・研究生、地域の「子ども食堂」の支援などを行っていく。

プロロジスアカデミーは6月に開設した。テナント企業の若手人材を中心に開講し、座学だけでなく、ディスカッションを重視したカリキュラムを提供した。今年はテナント企業から6人が参加してスタートした。将来的には、公募のプログラムとして開放する計画だ。

山田社長は日本法人設立20年を振り返り、「20年前は新しいビジネスを定着させなければいけない時期だった。現在、当たり前になっているマルチテナント型施設や多層階の物流施設も、そこから始まった」と話した。そのうえで「付加価値を提供し、今後も高品質のサービスにつなげていく」と語った。モガダムCEOは「当社はイノベーションを進め、新たなビジネスを定着させた。今後の20年も楽しみだ」と話した。


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