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運賃改善が急務、国の提示に関心 / 東京五輪、車止まると経営に打撃

TOP INTERVIEW(3)
ILRS-NEWS Vol.494

株式会社フコックス 鎮目社長

― いま御社にとって最も重要な経営課題は何か。

(鎮目社長)運賃問題だ。国土交通省が今年度中に貨物自動車運送の標準的な運賃を提示する見通しで、これに強い関心を持っている。運送業界は規制緩和による競争の激化で長らく運賃の低迷が続き、この2~3年人手不足の深刻化もあってどん底から多少上昇に転じているが、当社が主品目とするセメントの運賃単価はいまだ比較にならないほど低迷している。

セメントは工事現場など現場サイロにバルクで直接持っていくケースが多く、時間、車種、経路など指定されるが、特に経路は、車両総重量20トン以上は特殊車両通行許可申請が必要で他に振り分けができず膨大な労力とコストがかかる。中止になるケースもあり、現状では採算割れすることも多々ある。これから働き方改革で残業規制が厳しくなるため、同じ仕事量でも延べ人数や台数が増えるのは必至で、このままでは立ちいかない状況だ。国土交通省が公示する運賃は、車両償却、実車率を勘案した原価計算をもとに提示するとされており、適正運賃が提示されることで新たな段階に来ることを期待している。

― 国土交通省の標準的な運賃の公示については、一部を除き実勢から乖離した高水準になるとの予測もある。

(鎮目社長)人件費、車両代、燃料費などしっかり原価計算して適正運賃を出すと聞いている。仮に実績と乖離があるとすれば、それは現状が著しく適正運賃から逸脱しているからだ。現状の低迷から脱して経営を改善するには適正水準に戻さなければ意味がなく、全産業水準より2割労働時間が長くて2割低いとされるドライバーの賃金にも反映できない。これまでは来た仕事は全てこなすことを使命にやってきたが、それももう限界だ。乖離が大きいので達成できないと思ったら、いつまでも適正な経営はできないと思うべきだ。もちろん標準的な運賃とはいえ、交渉が必要でハードルは高いかもしれないが、今回の国土交通省の提示を改善の大きな節目ととらえ、前向きに取り組んでいく。

人手不足の問題は起こっているのか。

(鎮目社長)当社は主力のセメントが機械荷役で手積み手降しがないのもあり、ドライバーの定着率は非常によいのだが、新人は入ってこない。このため高齢化が進み、現在、平均年齢は55歳を超えている。安全性を考え定年を63歳、その後は適正検査など行って65歳まで再雇用しているが、今後はセメントの国内需要をみた対応が急務だ。セメント内需は年間4300万トンの見通しだったが、東京五輪需要でも大きくは増えなかった。ただ、今後は首都圏の道路再開発やリニアモーターカーの整備もあるので4000万トン強はあるとみている。これを維持するには若手を補充しなければならいないのだが、現状では苦戦だ。定年延長も視野に入れていく。ただ、一般職はさらに採れない状況で構内作業は外国人を採用している。ドライバーの外国人労働は今後就労が認められても、日本の場合顧客の要求水準が高く、運転技術のみならず商品知識や接客対応、IT活用等言うならば「高度な専門職」。少なくとも日本語検定N2以上のレベルでないと無理だ。

― 鎮目社長は東京都トラック協会で副会長として活動されているが、担当部門の活動の近況を話してほしい。

(鎮目社長)東ト協では広報委員長で、全日本トラック協会の広報委員も兼任している。就任時にも話したが、運送業界の方は地元の名士が多く、地域でいろいろな組織に属しておられるので、草の根広報をやっていこうと思っている。物流がなければ世の中の活動は止まってしまうという重要性を広めていきたい。

東ト協としては昨年9月、環境と安全をテーマに運送業の理解普及をめざして代々木公園でトラックフェスタを2日間開催した。2年連続だが昨年は来場者が約3万2000人となり一定の成果があった。今年は東京五輪の関係で代々木公園が使えないため、駒沢公園で実施するが、子供さんや一般の人にトラックを身近に感じてもらい社会的貢献度の高い重要な社会インフラであるなど積極的にPRしていきたい。このほかラジオで広告を流しているほか、トラックにまつわる絵画コンテストで小学生に絵を描いてもらい、文化放送で表彰式をやった。また今年3月には文化放送で生放送の対談番組に出る予定があり、国が推進しているホワイト物流の話や、その時点で国の標準的な運賃が公表されたらそれも取り上げ、物流の重要性をアピールしていきたいと思う。

― 今年は東京五輪があり、一定期間事業や物流の規制が見込まれるがその影響は。

(鎮目社長)オリンピック、パラリンピックを合わせると前後2か月間は影響を受ける。セメントを前提に考えると、ゼネコンの工事は期間中環七以内でほぼストップするとみている。ただ、東京都の方針の細目はまだわからず、ゼネコンの工事はその間どこが止まり、湾岸の出荷基地がどうなるのか、車が何台止まるのかがわからない。一時的に都内の車を地方へ応援させようにもコンプライアンス上難しい。タイミングもあり仕事は補えないとみている。また経路申請が必要で時間や手間がかかる。車を止めてしまうと経営が受ける打撃は大きく、それが一番の心配だ。

―最後に今年5月に「ジャパントラックショー2020」が開催されるが、これに期待すること、あるいは要望があれば。

(鎮目社長)当社は特殊車を扱うため、運送・物流以外の一般的な展示会でも意外な発見があり、社員にはこれといった展示会には行くよう勧めている。ジャパントラックショーで関心があるのは、受発注や配車系システム関連の出展だ。当社では受発注や配車をつなげ、ドラレコ、デジタコも統合的に使えるようにしていくため機関システムの入れ替えを進めていて、それに関する展示に関心が強い。車載機器関係ではOBW(車載型荷重計測システム)に興味がある。国はGPSを使ってOBWとETC2.0を連動させるモニタリングシステムを21年実施でデータベースをまとめている。当社にとっては特殊車の経路申請がいらなくなり、メリットが大きい。その関連展示があればぜひ見てみたい。

(聞き手:葉山明彦)


株式会社 フコックス
東京都江東区佐賀1-1-12 

代表取締役社長  鎮目 隆雄
(東京都トラック協会副会長)

ホームページ https://www.fucox.co.jp/

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私企業に加え団体でも活躍する物流経営者のインタビュー

 

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