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新型肺炎で物流各社、国内で対策 時差・自宅勤務拡大、訪問者禁止も

Daily Cargo  2020年2月27日掲載

 

新型肺炎の国内での感染拡大を受けて、物流各社は社員の安全と健康を守るべく、対策に乗り出している。新規導入や既存制度の対象拡大による時差勤務の奨励や、テレワークによる自宅勤務の実施が広がっており、中には、社外からの訪問者との接触禁止やオフィスビルのフロアの移動禁止など厳格に対応する企業もある。国内外の不要不急の出張禁止に加えて、社内での会議の回避、従業員の検温管理なども行われている。

本紙が26日、主に首都圏を主要拠点とするフォワーダー、NVOCC、港運、倉庫、3PL、陸運など20社超を対象に調査した。およそ半数程度は、時差勤務やテレワークを導入している。

「26日から部署ごとに順次、時差出勤を始めた」「27日から時差勤務を開始する。午前8時、9時、10時に分けて出勤するようにして、通常の営業時間内に人がいる状態を保つ」「既存のフレックスタイム制度を拡大する。来月いっぱいは、これまで対象でなかった従業員も申請すれば受け付ける。(環境次第で)延長も考えている」(いずれも日系物流会社関係者、以下同)。

目的は、公共交通機関の混雑時間の回避だ。「公共交通機関で通勤する場合は定時の午前9時~午後5時半勤務を避け、交通機関の混雑が緩和される時間帯の出社を推奨している。10パターンの勤務時間の体系があり、本社や営業所、現場でも活用している」「全社でピーク時間を避けた時差通勤を奨励している。選択勤務時間制度があり、(定時から)30分ごとにずらしたシフトパターンから選べる」。

会社指定の業務環境の構築などが必要にもなっていたテレワークも、非常事態下で、「既に実施できる体制にあったが、改めて肺炎対応として希望者を募っている」「これまでは会社指定の持ち出し用パソコンでなければいけなかったが、自宅のパソコンでも承認されれば(テレワークが)可能なように対象を広げた。先週から実施している」。 

ある物流会社は、26日から国内の全事務所を対象に、社外からの訪問者との接触やオフィスビルのフロアの移動、複数部署間の会議を禁止した。サージカルマスクを配布して全社員にマスクを着用させたうえでの厳しい運用だ。同社は時差出勤やテレワークも推奨している。別に「来訪者に体調などを申告してもらう」という企業もある。

従業員同士や客先との対面の場を減らす動きも多い。「グループ間の対面でのミーティングや打ち合わせを控えている」「極力、打ち合わせはテレビ会議」「会議はマスク必須。時間も極力短縮」「長時間・多人数の会議・セミナーなどの開催は当面、回避を検討する」「取引先とのイベントや懇親会は自粛」。

不要不急の出張の禁止は、当初の中国から海外各地、国内にも広がっている。「国内出張では公共交通機関での移動をやめ、社有車で行けるところは行くようにしている」との社もある。

マスク、アルコ―ル消毒などの衛生対策はもちろん、従業員の健康管理も厳しくなっている。「全従業員は毎朝検温。37.5度以上ある場合は出社しない」「体調不良が見られる場合は、休みを取って外出を控える。休んでいる間は毎日体温を測定し記録する」。

物流業には現場がある。社会インフラである物流のオペレーションを止めるわけにはいかない。「本船荷役の際は乗船時のマスク・軍手の着用、本船上での飲食禁止、下船後のうがい・手洗いを徹底している」などと対応している。しかし、「B/Lの窓口は閉めるわけにはいかず、通常対応を継続中」「現場や業務が違う従業員に対して統一した対策が取りずらい」との面もある。

ただ、26日時点で時差出勤やテレワークを導入決定していない物流会社でも「検討中」の声は多い。今後、対策は一層広がるとみられる。


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