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日中航路 主要港では空コン不足も 地方港も荷動きに影響

Daily Cargo  2020年3月6日掲載

 

新型コロナウイルスの感染拡大によって日中航路の荷動きが減少する中、中国からの輸入が多い主要港では輸入の減少によって輸出用の空コンテナが不足する事態が起きている。「東京港のバンプールに蔵置されていた空コンテナがみるみる減った」(トラック事業者)といい、輸出コンテナの確保が難しくなっているようだ。また、地方港についても荷動きが大きく減少するなどの影響を受けた。ただ、足元では荷動きが回復傾向にあるほか、主要港のように空コンテナ不足などは起きていないという。

日中航路では例年、配船各社が春節期間中、1週程度の減便を行うことが多いが、今年は春節期間が延長されたこともあって各社2~3週の減便を余儀なくされた。荷動きの低迷も長引き、1月下旬から2月にかけては特に中国から日本への輸入荷動きが落ち込んだ。

中国からの輸入コンテナが激減したことで、日本で輸出に回す空コンテナが急速に減った。中でも日本の一部主要港では自動車や機械関連の輸入が多く、新型コロナウイルスの感染拡大による工場稼働率低下の影響を大きく受けた。空コンテナの不足も東京港など主要港が中心だ。他航路からコンテナを融通しにくい日中航路のみに配船している船社が特に大きな影響を受けたようだ。

東京港では輸入貨物の減少が大きく「ターミナルによっては中国航路で3割、韓国航路で2割、台湾航路で1割貨物が減ったと聞いている」(船社関係者)という。

中国の工場稼働は2月中旬以降、順次再開し、通常の体制に戻りつつあるが、荷動きの回復はこれに比べ遅れている。ある船社関係者は「荷動き回復のカギとなるのは中国でのドレージ確保だ」と話す。ドレージの確保ができず、中国からの輸出や日本からの輸出を控える貨物が一定数あったという。ただ、2月末ごろからはドライバーが業務に順次復帰。100%ではないものの、中国側のドレージ確保がある程度可能となってきており、それに伴い、荷動きが回復してきているようだ。

また、地方港は、生活必需品の輸入が多く、主要港に比べ新型コロナウイルスによる荷動き減少の影響は限定的だったようだ。それでも「2月は通常の半分以下に落ち込んだ」(船社関係者)といい、取り扱いは大きく減少。ただ「3月に入り、例年の7~8割程度まで荷動きが回復している」(同)ことから、今後、荷動きの回復が期待されている。

中国側では通常の経済活動が戻りつつある一方、日本では感染拡大を防ぐための対策が本格化している。船社関係者は日本側の企業による生産体制の縮小などが広がれば、荷動きの回復がさらに遅れるとして懸念している。

このほか、日韓航路でも新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な大邱地域の貨物を中心に、一部で荷動きが減少しているようだ。ある船社関係者は「例年に比べ1割ほど取り扱いが減っている」と話す。もともと、日韓航路は韓国の経済成長鈍化や日韓関係悪化を背景に荷動きが減少傾向にあるが、これにさらに追い打ちをかける状況となっている。


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