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日本港湾 荷役継続へ感染防止策徹底 貨物回復に期待

Daily Cargo  2020年4月2日掲載

 

日本港湾では新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中国発着を中心に2月のコンテナ貨物の取り扱いが落ち込んだ。港運事業者からは「貨物の減少は港運事業者にとって死活問題。一方で中小企業が多い港運事業者が対応できる余地は少ない」との声が上がる。一方で3月に入ってから港湾によっては、「中国との荷動きが回復し始め、貨物量も戻りつつある」との見方もある。ただ、欧米や東南アジアでの感染拡大により、今後は同エリアとの荷動き減退が懸念される。また国内でも急速に感染が広がっていることを踏まえ、「作業員の感染対策をしっかり行う必要がある。仮に感染者が出ればギャング全体に影響が出て、荷役が止まる可能性もある」と懸念する声も強い。

港湾運送事業は元々、物量の波動性の影響を強く受けやすい業態だ。作業量が急減すれば当然、収益にも悪影響を及ぼす。現時点で2月のコンテナ取扱量を公表していない港湾が多いものの、関係者の話を総合すると前年同月比で2桁減となったターミナルも多く、中国発着貨物の比率が高いターミナルでは3割近く減っているケースもあるようだ。「ターミナルの蔵置量は目に見えて減った」「港湾荷役に加えて倉庫なども含めた作業労働時間は大幅に減っている」とする声が大きい。また、首都圏近郊の地方港では、京浜港における港湾混雑の影響回避を狙う荷主や物流事業者をターゲットに、利用分散化を呼び掛けてきた。しかし、「貨物量が減って主要港の混雑が緩和すれば、地方港を利用するインセンティブが薄くなる。ポートセールスが一層難しくなる」(地方港関係者)との声も上がる。

一方で3月に入ってからは、中国の生産活動の回復などにより、「取扱量が回復しつつある」といった声も一部の港湾で上がる。しかしこうした港湾でも、「通常、3月は年度末で荷量が盛り上がる時期。回復の兆しはあるものの、例年ほどの盛り上がりはない」ようだ。また足元では、欧州や米国、東南アジアで急速に感染拡大が進んでいる。非常事態宣言の発出や入国制限などの対応が広がり、現地での生産活動の停滞や経済活動の萎縮などが始まっている。日本港湾は東南アジア各国との直航便も多く、今後、同エリアとの荷動きが落ち込むことで、港運事業に影響する可能性も懸念されている。各港で取扱量が減少する中、日本港運協会の久保昌三会長は3月11日の定例記者会見で、「各地区の港運協会を通じて会員店社に対し、(政府が実施する)雇用調整助成金の周知を図る」と説明。助成金の活用で一息つきながら、荷動きの回復を待つ。

港運関係者が最も懸念するのは、作業員の感染だ。国内感染が広がる中、「港湾作業員が一人でも感染すれば、ギャング全体に影響する。特に地方港では既に人手不足となっており、感染者が発生すれば最悪の場合、荷役が止まる可能性もある」との懸念も上がる。「外航船の荷役の場合、船長によってはマスクを義務付けるケースもある」「座るときは離れて座ったり、検温やマスク着用などの一般的な感染予防対策を促しているが、こればかりはいつ誰が感染してもおかしくない。早く終息することを祈る」との声が強い。

今後は、政府が改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を出すかどうかにも注目が集まる。もし緊急事態宣言が出されると、都道府県知事は法に基づいて外出自粛など必要な協力を要請することができるようになる。海外の都市封鎖の事例を見ると、港湾施設は対象外になっているケースは多いため、「港湾物流がどこまで制限されるか不透明だが、物流自体を止めることは考えにくい」(港運関係者)、「欧米のロックダウンとは異なり、日本の場合は罰則や強制力を伴うものではない。あくまで法に基づいた要請となる」(地方自治体関係者)という声も上がる。しかし、「港湾のオペレーションは動いていても、作業員の通勤に支障が出る可能性がある」と心配する声もある。港湾周辺のみならず、中には隣県から出勤している作業員もいるため、移動に制限がかかり、人が集まらなければ荷役作業効率が低下する恐れもある。また、引き取りが滞ればヤード内の貨物滞留が発生する可能性も想定される。港湾関係者は政府の動向を注目し、対策を検討している。


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