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新型コロナ、印刷出版で量3割減 / 改正貨物法、荷主の罰則も必要

物流業Now!(8)
ILRS&NEWS (Vol.525)
 

(有)すずか梱包運輸 鈴木社長


 新型コロナウイルスの発生後、御社の取り扱う貨物にどの程度変化があったか。

(鈴木社長)当社は大手印刷会社の本を主に運んでいるが、新型コロナ騒動が起こった後は量的に3割くらい落ち込んだ。週刊誌や月刊誌は出版社の業務中断で発刊が滞り、付録で売る雑誌は付録生産元の中国が製作中止となるなどで、休刊や臨時合併号などが相次いだ。またチラシやポスター関係も自動車ほか主だったメーカーが業務停止したため発注がなくなり、カレンダーもセールス見直しでかなり減っている。ただ、単行本は在宅長期化の影響で増えている。

 新型コロナが発生した後、御社としてとった措置は

(鈴木社長)顧客からも安全対策を第一にせよとの指示があり、社員へのマスク配給、手洗い用の消毒液設置はもちろん、社員全員に朝の検温を義務化し、体温日報をつけて37.5度以上の人は出社させないようにした。また、社内会議はネット化し、工場ではネット会議を2回に分割した。ドライバーだけはやむをえず対面でやっている。車内清掃は常に下車時にやっている。顧客には工場での車両集中を避けるため時間帯を分散してもらった。これまでのところ時間のコントロールだけで拠点変更がなく、1人の発症者も出ていないのでうまくいっている。

事業的には車両が不稼働となり、雇用調整助成金が新基準の5%以上減収となってからは、社労士にお願いして申請した。運転資金はとりあえずショートしないよう政府が決めた金利ゼロの特別融資を金融機関から借り入れたが、3カ月くらい待たされた。

― 新型コロナ発生後、求職など人手事情に変化はあったか。

(鈴木社長昨年10月の東京都の有効求人倍率が都平均で4.1、西東京では7.2にもなってまったく人が採れなかったが、いまは発表こそないがそうとう下がっているのは疑いない。よい人材をとるチャンスではあるが、当社の場合は現状採用するだけの仕事がなく、先行きも不透明なため、見送らざるをえない。できれば仕事も人材もほしいところだ。

― 働き方改革や社内教育の取り組みは。

(鈴木社長いまは輸送効率を上げて働き方を改革するなどということは当社単独ではできない。私は東京都の働き方改革委員会のメンバーだが、輸送効率を上げるためには、荷主との契約方法を変えなければならない。荷主、輸送事業が協力して生産工程におけるサプライチェーンを見直し、実車率、積載率の向上が課題だ。リアルタイムな情報がカギを握っている。今年4月に告示された標準的な運賃は後押しにはなるが、改正貨物自動車運送事業法に違反した荷主の罰則も入れるべきだと思っている。

社員教育については、コロナ発生後も変化なく、当社のカラーを維持すべく継続している。ドライバーの情報交換を含めた月1回の会議もそのまま続けている。

― ウィズコロナ時代に入ったと言ってもよいと思うが今後については。

(鈴木社長新型コロナの推移を常に監視し、不要不急の外部の人との会合はできるだけしないよう続けていく。一方、社内会議をネット化したことで話がスムーズになり、1時間かかっていたものが15分くらいで終わるなどムダがなくなった。オンラインによる業務簡素化は拡大していきたい。いまは売上が激減なので目先の対応で勢一杯だ。ワクチンができたら全員に打たせ、早くこの状況から脱出したい。

― 最後に東ト協での活動の近況をお話いただきたい。

(鈴木社長東ト協の常任理事で葛飾支部長をしており、新型コロナ問題では助成金や特別融資について多くの会員から相談を受ける。東ト協本部の社会保険労務士に葛飾支部もみていただいて約20社が手続きなどの指導を受けている。また、支部会員の健康診断も積極的に受診するよう進めている。この結果、東ト協の受診率は46%ほどだが、葛飾支部は86%とかなり高い。当社では従業員が100%受診しており、支部でもできる限り100%に近づけたい。

このほか東ト協に製本出版分科会があり、当社のように印刷、製本、出版などを顧客にもつ運送会社が意見交換するが、新型コロナで今年からZOOMによるネット会議化した。先日のZOOM会議では、分科会に所属するほとんどの業者の仕事が減る中で、不当なダンピングをして仕事を取るのだけは避けたいと思い、少なくとも分科会に加盟する社や配下の社にはやらせないよう発言した。

(聞き手:葉山明彦)


有限会社すずか梱包運輸
東京都葛飾区東金町7-37-5

代表取締役社長 鈴木 貢
ホームーページ http://suzuka-transport.c.ooco.jp/index.htm

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