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一五不動産・物流施設市況見通し 価格・賃料横ばい、冷凍食品が需要けん引

Daily Cargo  2023年8月23日掲載


一五不動産情報サービスが21日に発表した「物流施設の不動産市況に関するアンケート調査」によると、物流施設の半年後の不動産価格の見通しは「横ばい」が66.3%、「上昇」が27.2%、「下落」が6.5%となった。賃料の見通しは「横ばい」が60.9%、「上昇」が29.3%、「下落」が9.8%。不動産価格、賃料ともに大きな変化はみられないとの結果だった。また、今後の需要をけん引する貨物について、冷凍冷蔵食品が8割近い回答を集め、最多となった。

不動産価格の見通しについて、横ばいの回答理由は「キャップレートのさらなる低下が見込みづらいため」、「賃料水準の見通しに大きな変化がないため」がそれぞれ29回答で最多だった。上昇理由は「物流施設の建築費が上昇するため」が最も多い21回答を集めた。賃料の見通しの回答理由について、横ばいは「新規開発による供給増と物流ニーズの増加が均衡するため」が36回答で最も多かった。上昇理由は「建築費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」が26回答で最多だった。

今後の需要をけん引する貨物のアンケートについては、食品(要冷)が72回答で抜きん出た。冷凍食品の伸びが顕著で、高齢世帯や共働き世帯の増加により、一人あたりの消費量が拡大していることなどが背景にあるという。また、ファンドリー(半導体受託生産)世界最大手である台湾TSMCの熊本県進出などで注目が集まる「半導体/電子部品」が49回答、リチウムイオン電池や高圧ガスなどの「危険品」が30回答と続いた。一五不動産情報サービスは「昨今の賃貸物流施設では、マルチテナント型物流施設に危険物倉庫が併設されたり、冷凍・冷蔵倉庫が開発されたりするケースが増えている。今後の賃貸物流施設の開発では、普通倉庫と特殊倉庫を融合する動きが進んでいくことを示唆している」としている。

アンケート調査は不動産にかかわる実務家・専門家を対象に、半年ごとに実施。今回の有効回答数は92回答だった。


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