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港湾起因などリスク分析、対処も 米政権にSC・レジリエンス委発足

Daily Cargo  2023年12月4日掲載


バイデン米大統領は11月27日、サプライチェーン(SC)の強靭化に向け、「SC・レジリエンス諮問委員会」を設立し、政府全体の長期戦略を推進していくと発表した。同委は、各省庁トップや政府高官が参加する省庁横断的な構成とした。医薬品、半導体、農産品、戦略的な重要鉱物資源、武器、エネルギー関連などを巡るSC強靭化を図るほか、国土安全保障省(DHS)ではSC・レジリエンス・センター(SCRC)の立ち上げを発表。重要インフラのレジリエンス確保を目的とし、当面の優先課題に港湾セキュリティの脆弱性に起因するリスク対処を挙げた。

SC・レジリエンス諮問委員会による取り組み自体は30近くあるとされ、4年ごとに評価し、国家と経済の安全保障にとって重要な産業、部門、製品に関する基準を更新する。まず来年12月31日までに第1回目の評価を完了する予定。重要部門の対象リストは適宜、見直す。商務省(DOC)には政府横断的なSCセンターを開設し、SCの監視と戦略を強化する。業界の専門知識とデータ分析を統合して革新的なSC・リスク評価ツールを開発し、特定の重要SCを深く掘り下げた分析を行う。レジリエンスを高めるための的を絞った行動を推進していく。

SCRCはまず、港湾を巡るリスク軽減に向け、具体的かつ実行可能な解決策を策定していく。敵対的な国家の脅威、国家管理下にある信頼できない機器への過度の依存、データ抽出、インサイダーリスク、未検証の仮想および物理的アクセスでもたらされるリスクの評価を含めて取り組む。サイバー関連のリスク軽減というテーマもある。港湾当局や港湾運営者、海運、運輸、ロジスティクス、その他の業界関係者および米運輸省(DOT)と緊密に協力する。今後の分析と提言には、予約システム、物流管理プラットフォーム、データ作成も含める。

DHSは来年、国境を越えた重要なSCのレジリエンスについて、他の連邦機関や外国政府と協力して少なくとも2回は机上演習を行う。また、DHSと商務省(DOC)は半導体を巡るSC強化を継続し、米国内の半導体産業振興を目的とする「CHIPS法」の実施を促進するため協力していく。

DOTでは、官民パートナーシップ「Freight Logistics Optimization Works(FLOW)」の参加者が、FLOWのデータを活用して物流の意思決定に利用する取り組みを発表した。FLOWは同国のSC関係者が集結し、SCの共有化・共通化を図ることで、より信頼性の高い物流を促進していく取り組み。物流のボトルネックの回避、顧客へのリードタイムの短縮、SC混乱を早期に警告することで、より強靭で国際競争力のある貨物ネットワークを実現する。DOTはまた、新たな部署として「マルチモーダル・フレート・オフィス」を設置する。同国内でのマルチモーダルネットワークの開発やFLOWの取り組みを通じて、ネットワークの維持・改善での責任を負う。


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