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ロンドン主要2空港、混雑緩和へ拡張 英ガトウィック、2本滑走路運用へ前進

Daily Cargo  2026年8月14日掲載

旅客数で英国第2位のロンドン・ガトウィック空港(LGW)で、既存の北側滑走路を事実上の2本目として通常運用する計画が実施段階に入る。拡張計画に反対する個人と団体による上訴許可申請を英控訴院が退けた。空港会社は8年間にわたる計画・法的手続きが終結したとしており、今後は北側滑走路の中心線移設や誘導路、ターミナルなどの整備に向け、詳細設計・施工プロセスが進む見通しだ。英国最大の空港、ロンドン・ヒースロー空港(LHR)でも、英政府が第3滑走路計画を政策面で後押ししている。空港容量の逼迫が課題となってきたロンドンで、主要空港の機能増強が相次いで具体化している。

◆既存滑走路を通常運用
LGWは現在、長さ3316メートルの主滑走路を中心に運用している。主滑走路の北側には既存の待機滑走路があるが、両滑走路の中心線間隔は198メートルにとどまり、計画・運用上の制限から同時使用できない。北側滑走路は通常時には主滑走路の平行誘導路として使われ、滑走路としての使用は主滑走路の閉鎖時などに限られている。

北側滑走路プロジェクトでは、同滑走路の中心線を北へ12メートル移し、主滑走路との間隔を210メートル確保する。国際的な安全基準に対応したうえで、北側滑走路を主に小型機の出発に使用する。到着便とその他の出発便は、引き続き主滑走路を利用する。

滑走路を新設するのではなく、既存施設の改修によって2本同時運用を実現する計画だ。誘導路やターミナルの拡張、関連施設、道路網なども整備する。ガトウィック空港会社が手がける総事業費22億ポンド(約4700億円)の事業で、公的資金を使わず、全額を民間資金で賄う。

ガトウィック空港会社は2023年7月、北側滑走路プロジェクトの開発同意命令(DCO)を申請した。英運輸相は25年9月21日、北側滑走路の通常運用を認めるDCOを承認。計画に反対する個人と団体が政府の決定を不服として司法審査を申し立てたが、高等法院が26年6月23日に請求を退けた。ガトウィック空港は8月4日、控訴院も上訴許可申請を退けたと発表した。

空港会社は、これにより計画・法的手続きが終結したとして、設計・実施段階に移行する。北側滑走路の通常運用化により、年間旅客数を最大8000万人とし、商業便の年間発着回数上限を38万6000回に引き上げる計画だ。年間10億ポンド(約2100億円)の経済効果と、地域で1万4000人の新規雇用を見込む。

◆「空港経済区」を具体化
ガトウィック空港会社は、北側滑走路の通常運用化に向けた取り組みと並行し、周辺地域への投資誘致や国際貿易、観光経済の振興を図る空港経済区(Airport Economic Zone=AEZ)の具体化も進めている。AEZは自治体や企業、国の関係機関が連携する地域経済政策の枠組みで、北側滑走路計画の雇用・人材育成・事業支援戦略の中核施策として25年に発表した。

26年7月には、企業、行政、学術機関の有識者による暫定戦略諮問委員会を設置した。北側滑走路の工事開始後の本格運用と、正式な戦略諮問委員会への移行に備え、投資誘致、国際貿易、観光経済を重点とする取り組みを進める。

ヒースローも第3滑走路計画
一方、LHRでは、第3滑走路の実現に向けた政策手続きが進んでいる。運営会社のヒースロー空港会社は、長さ最大3500メートルの北西滑走路の新設を計画する。新たなターミナル施設や既存ターミナルの再構成、関連インフラ、地上アクセス施設、幹線道路網の変更なども計画に含む。

英政府は25年11月、ヒースロー空港会社が提案した北西滑走路案を、国家政策声明(NPS)の見直しの基礎となる計画案に選定した。26年6月18日には「ヒースロー拡張NPS」の改定草案を公表し、9月1日まで意見を募集している。

草案は第3滑走路の建設を認可するものではなく、今後提出される開発同意申請を審査する際の政策的な判断基準となる。英政府は、騒音、大気環境、気候変動、英国全体の経済成長を審査上の主要項目とし、29年の最終的な計画判断を目指す。拡張により6万人超の地域雇用を支え、英国全体で最大420億ポンドの経済効果をもたらすと見込む。

LHRでは発着容量の逼迫が20年以上続いている。貨物の約95%を旅客便のベリースペースで輸送しているため、第3滑走路による長距離旅客便の増加は、国際市場へのアクセス向上や航空貨物容量の拡大にもつながる。

◆LHR、LGWで英旅客数の4割超
英民間航空局(CAA)によると、25年のLHRの航空機発着回数は47万9996回、旅客数は8446万2000人、貨物取扱量は154万9027トンだった。LGWは発着回数26万3113回、旅客数4276万9000人、貨物取扱量12万315トンで、旅客数ではLHRに次ぐ英国第2位。英国全空港の旅客数に占める割合はLHRが28.2%、LGWが14.3%で、両空港を合わせると4割を超えた。

LHRはLGWと比べ、旅客数で約2倍、貨物量では約13倍の規模を持つ。両空港の滑走路増強は、ロンドンの空港処理能力に加え、英国の国際旅客・貨物ネットワークの中長期的な供給力を高めることになる。中でも英国最大の航空貨物拠点であるLHRの容量拡張は、同国の国際物流機能の強化につながるだけに、今後の計画の進展が注目される。


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