コンテナ船社 スエズ運河経由へ回帰の動き 空コン回送迅速化と遅延挽回へ
Daily Cargo 2026年9月16日掲載
主要コンテナ船社がアジア―欧州・地中海コンテナ航路などで、喜望峰経由からスエズ運河へのルート変更を行う動きが増えている。マースクとハパックロイドによるジェミニ・コーポレーションは14日、アジア―欧州・地中海航路4ループでスエズ経由に切り替えることを発表。MSCもインド・メキシコ航路の西航の一部本船でスエズ運河の航行を行うことを明らかにした。現在、悪天候やストライキの影響などでアジアや欧州の港湾で混雑が悪化し、本船スケジュールの遅延が常態化している。スケジュールの信頼性を高めるとともに、空コンテナをアジア側に迅速に回送する狙いもあるとみられ、安全を確認した上で航海距離の短いスエズ経由に切り替える動きが広がっている。
ジェミニ・コーポレーションは14日、アジア―欧州・地中海コンテナ航路「AE5/NE4」「AE11/SE2」「AE12/SE1」「ME2/IEX」で航海ルートをスエズ運河経由に切り替えると発表した。ジェミニは既に「AE15/SE3」と「AE19/SE4」でもスエズ運河経由に変更しており、これに続く動きとなる。
「AE5/NE4」の新たな寄港地・ローテーションは、青島―寧波―タンジュンペラパス―(スエズ運河)―ロンドン―ブレーマーハーフェン―ハンブルク―ロッテルダム―アルヘシラス―(スエズ運河)―タンジュンペラパスとなる。
「AE11/SE2」の新たな寄港地・ローテーションは、上海―塩田―タンジュンペラパス―(スエズ運河)―タンジェ―バレンシア―バルセロナ―ラスペチア―ジェノバ―バド・リグレ―(スエズ運河)―シンガポールとなる。
「AE12/SE1」の新たな寄港地・ローテーションは、寧波―上海―タンジュンペラパス―(スエズ運河)―アルヘシラス―コペル―リエカ―アルヘシラス―(スエズ運河)―シンガポールとなる。
「ME2/IEX」の新たな寄港地・ローテーションは、エンノール―コロンボ―(スエズ運河)―アルヘシラス―ロッテルダム―ロンドン―ハンブルク―タンジェ―(スエズ運河)―コロンボとなる。
ジェミニは、「ルートの変更は紅海地域の安定維持と同地域での紛争が激化しないことを前提とし、乗組員と船舶、貨物の安全確保が最優先事項」とした上で、「顧客により効率的なトランジットタイムを提供する」
と説明した。
MSCは8月から段階的に東西基幹コンテナ航路の一部でスエズ経由に回帰していたが、今月14日にインド―米国・メキシココンテナ航路「INDUSA」の西航で、9月23日コロンボ発の「MSC DOMNA X」がスエズ運河経由の運航を行うことを発表した。MSCは、「ルート変更は個々のケースに応じて実施される。今後も関係当局やセキュリティパートナーと連携し、同地域の状況を注視していく。乗組員と船舶、貨物の安全確保は最優先事項だ」としている。
船社が公表するスケジュールによると、オーシャン・アライアンスも一部のサービスでスエズ運河経由に回帰している。海事調査会社ドゥルーリーが8日に公表した紅海迂回トラッカーによると、8月31日~9月6日までの1週間でスエズ運河を通航したコンテナ船は45隻となり、過去1年間で最多の水準となった。直近3週間の平均通航隻数は42隻となり、その前の3週間平均から16%増加している。徐々にスエズ運河を経由する本船が増えている。
背景には、アジアと欧州の港湾混雑や船舶の遅延への対応があるとみられる。中国を中心としたアジアの主要港では、7月中旬以降台風が相次ぎ、混雑状況が悪化。欧州側においてもオランダやドイツで港湾ストライキが発生した。スケジュールが遅延しやすい状況下でスエズ経由に切り替えることで、輸送時間を短縮し、遅延の影響を減らす狙いもありそうだ。往復
航のインバランスが拡大する中、アジア側への空コンテナを迅速に回送する狙いもあるとみられる。
一方、喜望峰経由とスエズ運河経由の両ルートが混在し、港湾への到着時間が集中することで、一時的に港湾混雑が発生する懸念もある。
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