ハパックロイド/FIMI ZIM買収の修正案を提出 イスラエル政府に
Daily Cargo 2026年9月30日掲載
ハパックロイドとイスラエルのFIMIオポチュニティファンドは24日、ZIM買収に関する修正提案の要点をイスラエル政府に提出した。今回の修正案はイスラエルの安全保障機関を含む関係当局との協議の中で提起された懸念事項に対応したもので、従来案に比べ、イスラエルの海事分野における自律性や国家安全保障、サプライチェーンの強靱性を一段と強化する内容となっている。ハパックロイドとFIMIは今後45日間で事業計画と取引の法的枠組みの詳細を最終決定する予定。この間、両社幹部はイスラエル国内で関係当局や政府省庁との一連の会合を行い、修正内容について詳細な協議を進める。
ハパックロイドとZIMは今年2月、両社の合併に関する契約を締結したことを明らかにした。ハパックロイドがZIMの全株式を総額約42億ドルで取得し、ZIMの事業のうちイスラエルの国家安全保障上重要と位置付けられるコンテナ船事業は分離し、別法人として「ZIMイスラエル」を設立する計画だ。4月にはZIMの臨時株主総会で、株主が合併案を承認した。
一方、イスラエル政府はZIMの黄金株を保有しており、合併には政府の承認が必要となる。しかし、これまでイスラエルの複数の省庁から、国家安全保障やサプライチェーンの観点で合併に対する反対意見が出ていた。こうした中、9月上旬に提案内容を一部修正する方針を明らかにしていた。ハパックロイドのロルフ・ハベン・ヤンセンCEOは先週イスラエルを訪問し、協議を実施。ハパックロイド関係者によると、今後も定期的に同国を訪問する予定だ。
今回提出された新たな提案では、ZIMイスラエルが従来計画の大西洋航路、地中海航路に加えて、極東航路でも船舶を運航することを盛り込んだ。また、イスラエル政府が保有する黄金株に基づく保護措置を大幅に強化する。所有権の変更に対する政府の権限と管理能力を高め、外国からの干渉を防止する。これにより、緊急時も含めてイスラエルの海事上の自律性とZIMイスラエルの船隊に対する管理権を確保する。
イスラエル発着貨物を担当するZIMの専門チームがZIMイスラエルに移管されるほか、船舶管理機能もイスラエル国内に維持され、ZIMの既存の船舶管理能力がZIMイスラエルに移管される。加えて、今後数年間でイスラエル人船員の数を大幅に増やすことを確約した。イスラエル人船員の減少傾向を反転させる考えだ。
また、ZIMイスラエルは中核となるコンテナ船隊を保有するとともに、長期契約を通じてハパックロイドのグローバルなコンテナ船隊も利用可能な体制を整える。これにより、冷蔵貨物やその他の重要貨物のイスラエル発着の輸送能力を高める。システムに関しては、ZIMイスラエルは独自のITシステムを運用し、ハパックロイドを含む第三者がアクセスできない体制を構築する。イスラエル国内のZIMの従業員に対しては、金銭的なインセンティブや長期勤務者に対する10年間のセーフティネットを用意する。
ヤンセンCEOは、「ハパックロイドとFIMIは、イスラエル政府の意見に真摯に耳を傾け、提案内容を大幅に改善した。共通の目標は、イスラエルの平時および有事のニーズに応えることができる、現在よりも強固で高度な専門性を備え、財務的にも健全なイスラエルの海運会社を確立することだ」とコメント。その上で、「今回の提案は、イスラエルの海事上の自律性を大幅に高め、国家安全保障上のあらゆるニーズに対応するものだ。アジア航路の追加、イスラエルの海事人材への投資、国内への海運ノウハウの維持、ZIMイスラエルへの近代的な新船隊の提供を通じて、イスラエルの海運能力を飛躍的に向上させる。イスラエル国家が直面する課題に対する真の解決策となり、同国の海事能力を強化するものであると確信している。イスラエルとドイツの長年にわたる関係を示す提案でもある」と述べた。
提案の修正に加え、イスラエルでは10月27日に総選挙が予定されている。一方、ハパックロイド本社の広報担当者は本紙に対し、「現在、必要な認可を取得するため各規制当局との協議を進めており、2026年末までの取引完了を目指していることに変更はない」と答えた。
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