物流よろず相談所

2026年の戦略は

2026年3月25日

『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志


2026年、改正物流効率化法の施行によって、物流企業は荷主との関係において「単なる運送の下請け」から、経営課題を共同で解決する戦略的な連携パートナーへと転換する必要があります。2026年4月施行の改正物流効率化法により特定荷主(年間9万トン以上、連鎖化事業者含む)は、物流効率化の法的義務が課せられることになりました。具体的には①積載率の向上、②荷待ち時間の短縮、③荷役等時間の短縮などへの中期取組みを策定し、年度ごとの報告が義務づけられました。

この様な中で、顧客を意識したサービスを展開し、成長につなげていくことが必要となってきます。自社ならではの付加価値を物流商品としながら、荷主にとって失いたくないパートナーになることが理想です。提案型パートナーシップへの転換することが大事です。施行された物流効率化法に対し荷主の法的対応はどうすべきか、具体的な改善策を提案することが必要です。CLOの相談役やKPIの共有等など具体的なパートナーへの位置づけを高めて行きましょう。持続的な物流の重要性も注目です。サプライチェーン全般の回復力を高めるための具体策を提示することも有用です。災害時はもちろん緊急時の供給の停滞を避けるためにもデータの可視化に基づき物流を最適化し、サプライチェーン全体の流れを荷主と共有しておくようにしましょう。

次に自社が営業強化を図る市場を特定する必要があります。物流事業者が競争優位性を築き、勝てる市場で勝負するには大手との直接競争を避け、自社特有の強みを活かせる分野に特化することがカギとなります。成長分野として有望とされるのが高付加価値、専門輸送市場(大型貨物や重量物、インフラ関連プロジェクト輸送、また特定温度帯や厳格な品質管理を要する分野など)等の独創性を高めることができる市場にターゲットを絞ることも必要です。その定めた市場において、戦略を展開しなければなりません。1.自社の強みを深く分析する(所有車両、地理的拠点、従業員のスキル、既存顧客との関係性など、戦略の核となる強みを特定)、2.市場の課題を特定する(特定地域における人手不足や特殊貨物の扱いにくさなど)、3.自社の強みと市場の課題を結びつけ、差別化要因を打ち出す(価格以外の品質、スピード、専門性等で勝負する等)などPEST分析(政治、経済、社会、技術)を活かして戦術を練りましょう。次に市場の分析と戦略を実行する前に自社の分析も行なっておきましょう。自社の強み正しく定義されていますか?まず、①収益性の高い得意分野を徹底解剖しましょう、次に②コスト構造について見直してみましょう、次に③マーケティング分析、最後に④知識(ナリッジ)を分析することです。これら4つの分析を総合すると、自社の姿が見えてきます。

最後に顧客を魅了する事業定義を構築して参りましょう。顧客や市場の側から見ても、価値観や各ニーズに合ったサービス商品を期待できるような事業定義は魅力的です。現代の背景や流れに沿うことも意識したオープンな定義を必ず用意することが重要です。

具体的には現場の改善から恥じましょう。ドライバーの自主性を育て、品質を上げることが重要となります。ドライバーの役割・業務として今一度現場を見直し①その他業務を無くす、②積込業務の見直す、③コース取りの見直しを行なう、④配達業務の見直しをする、⑤納品受領の段取りを見直すなど徹底した無駄な時間を削減しましょう。それに基づく管理亜者の仕事でもムダをなくして行きましょう。幹部は荷主を交えて着荷主と交渉して①待機時間の削減、②仕分・積込の効率的な運用を事業部、営業所全体で考えることが必要です。これまで物流業で多かった経験・感・度胸で属人化した仕事の進め方ではなく、事実データ分析に基づく、DAD(Deta Analyze Decision)に変えて行かねばなりません。可視化を進めることで評価基準も明確となり、数値による評価が分かり易くなります。戦略の実現は人材レベルを引き上げることで可能となります。企業にとって最大の資産である“人材”を最大限に活用することもマネジャーの役割です。現場スタッフの適材適所を探求し、彼らを良く知るマネジャーだからできる効率化を実現しなければなりません。ドライバー、スタッフ全員が自分の“責任”を意識し成果を上げたいと願うような指導を考えてみましょう。改善の成功は現場次第です。

課題の多い2026年、すでにその荒波の中に繰り出した多くの物流企業は、自社にしかできない付加価値提供という戦略を用い、行く先の特定に努力を重ねています。2030年に向け、運べなくなるリスクは年々高まっていきます。各事業者が荷主に対し、持続可能な物流サービスを実践で提供し、顧客の効率化に向けた法的責任を共に全うしていくパートナーとして、新たな存在感を高めて行きましょう。

著者プロフィール

岩﨑仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

得意分野

  • 3PL
  • マーケティング
  • ドライバー育成
  • 人材教育
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