物流よろず相談所

自社をよく理解することから始めよう

2026年5月7日

『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志


物流業界はエネルギー価格の高騰や人手不足、法改正への対応など、膨れ上がる課題への対応に日々追われています。2024年を機に本格化してきた物流危機は、この先待ち構える2027年問題、2030年問題へと、その背景を変えながら日本の物流環境をさらに厳しいものにしていくでしょう。とりわけドライバーの高齢化による定年退職がピークを迎える2027年には約24~28万人のドライバーが不足し、需要に対して約25%の輸送能力が足りなくなると予測されています。またその他国内インフラの老朽化による大規模工事などが加わることで輸送ルートの変更や遅延が常態化するなどして、物流の効率化も再び停滞してしまう恐れがあります。

日本の総人口が1億2千万人を下回り、生産年齢人口も大幅に減少するとされる2030年に向け早急に進めていかねばならない自社の取組みは何か、1人1人が考え、理解しておく必要があるでしょう。

改正法の施行により、4月1日以降、物流業界の流れにも様々な変化が目立つようになってきました。荷主である製造業者の中にもこれまでの物流子会社を本社に吸収合併したり、3PL企業にアウトソーシングの一環として売却したりする動きが見受けられることもあります。物流をノンアセット化し、さらなるコスト削減を図る傾向が時代の流れに沿って表面化してきたようです。一方で物流効率化を掲げることで、DXの動きも加速していくことが予測され、物流のパフォーマンスはさらに高度化が進んでいくと思われます。手におえなくなっていく物流管理のレベルアップを、物流業者に委ねる企業は今後も増えていくはずです。近い未来を見据え“お任せ下さい”と胸を張れる実力を日々の経験で身につけておくことが今こそ必要なのです。

物流業界の高度化していくスキルは、日々の現場業務の中でこそ、その力を発揮させるものです。物流業務が企業収益に直結する現場においてはドライバーやスタッフの仕事に対する意識を最初に高めておくことで知識の吸収や、やる気の維持が格段に高まることはすでに御存知の通りです。現在、業界が直面している様々な課題には各物流現場における徹底した問題解決こそが何より効果を発揮するものですから、ドライバーを含めた各従業員の精鋭化は2026年現在、極めて重要であり、最優先の取組みと言えるでしょう。現場の生産性向上や体制の見直しは、2024年問題以降、すでに待ったなしの状況です。すぐに着手できる現場の改革(パレット、コンテナの標準化や5S,見える化など)から始めていき、確実に進んでいくデジタル化への道のりが、少しでも平坦なものになるよう、覚悟と準備を整えておきたいものです。今後の問題解決には、単なる人手不足解消だけではなく、法の枠に沿った経営視点による、生産性の高い組織転換が求められることになります。ただ、従来のように「現場の裁量」で回していた各業務管理の変更が急激に求められている今、現場では法対応に対する実務負担の増加に戸惑う声も多いのは事実。何故今改革が必要なのか、を理解してもらうために、現場のデータを数値化(荷待ち時間や実働時間なども含む)し、ムダの多さをコミュニケーションでカバーしながら、現場スタッフ意見や要望に耳をかたむけながら、自社の方向性に対する理解を求め、深めていく必要があるでしょう。2024年問題の規制強化に加え、改正物流効率化法の全面施行により、さらなる拘束時間短縮、労働環境改善、輸送の効率化が必須となってきました。とりわけドライバーは1日最大15時間(原則13時間)という拘束時間を守りながらの業務遂行に照らし合わせつつ荷待ち、荷役時間を極力削減していかねばなりません。彼ら自身がこれらの時間管理を正確にデータ化、報告していくことで、荷主への改善要請の根拠ともなるため、先にも述べたように同じ企業の同志として高い意識を持てる「全員精鋭ドライバー」の育成は本腰を入れて進めていくべきなのです。

 物流の中心には常に人が存在します。人が求めたものを、人が手配し、運ぶ、この流れは自動化が進む現場でも変わることはないでしょう。ドライバー、倉庫作業者、管理者を始めとする多くの人々が「安全・確実・迅速」に運ぶために連携し、経済・生活を支えているこの事実を少なくとも物流に携わる当事者は決して忘れてはなりません。人とデジタル技術の協調が物流の現場でも効果的に浸透し、業界の働き方改革を一層推し進めていくためにも現場の「改革成功例」を積重ねていくことは不可欠です。ドライバー・スタッフにもその良き手本となるようなパフォーマンスをぜひ期待したいもの。従業員のモチベーションやエンゲージメントを高める工夫・取組みを必ず取り入れながら成長企業として目標を目指し続ける姿勢を保ちましょう。 

現場重視を徹底させることは物流業の収益確保に最も効果的な問題解決法です。現場の最前線作業のひとつひとつは、むしろ最重要との認識を改めて全員に徹底させることです。顧客とのつながりも、いまだからこそ大切です。法対応を始め、物流に関する課題に向き合う立場も全く同じですから、これまで以上にパートナー意識を持ちやすい状況にあることは言うまでもありません。物流の現場は法対応にも直結しています。顧客対応も問題発見も、根底には法に照らし合わせた決まりがあることを改めて従業員にも伝え、1人1人がまさしくそのマニュアルになれるよう、自覚を促したいものですね。

著者プロフィール

岩﨑仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

得意分野

  • 3PL
  • マーケティング
  • ドライバー育成
  • 人材教育
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