公正取引委員会 物流特殊指定告示
2026年7月1日
『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志
政府による持続可能な物流をつくりあげるための動きが加速しています。下請法が今年1月から改正され取適法となり荷主が物流業者に委託する場合にも法が適用されることになりました。公正取引委員会は6月17日、荷主と物流事業者の取引、製造委託の代金支払を規律する独占禁止法上の2つの告示を確定し、公表しました。改正物流特殊指定と新設の支払告示で、いずれも2027年4月1日に施行します。3月に公表した原案を技術的な修正にとどめ、規制の骨格を維持した。企業は様子見の段階を終え、施行までの9カ月余りで物流と支払の取引条件を点検する段階に入ります。
公取委は3月12日、サプライチェーン全体の価格転嫁、支払条件の適正化、物流の商慣習是正を目的に4案を公表しました。4月13日を期限に意見を募り、66件が寄せられたことを受けて告示を行ないました。すでに4月14日には2つの告示案について公聴会を開いています。これらを踏まえて原案に修正を加え、確定したのが今回の告示となります。確定段階で原案の骨格が維持されたことで、企業にとっては制度の中身を見極める段階から、自社の取引をどう合わせるかを詰める段階へと移ります。
改正物流特殊指定では、着荷主と発荷主との取引(物品の販売、製造請負、修理請負又は情報成果物の作成請負における継続的な取引)を新たに対象として追加しました。
着荷主が、発荷主に対し、「自己のために物品の運送の役務以外の役務その他の経済上の利益の提供をさせること」「運送の内容の変更をさせ、又はその運送を行った後に運送のやり直しをさせること」を運送事業者を通じて行わせることによって、発荷主の利益を不当に害する行為を「禁止行為」として定めた。具体的には、「契約外の荷待ち・荷役を運送事業者を通じて行わせること」を禁止行為としています。
着荷主が、禁止行為を行った場合、物流特殊指定違反となり、注意、警告、確約計画の認定、排除措置命令といった行政処分を受けることになります。
改正物流特殊指定は、これまで運送、保管を委託する荷主を対象としてきましたが、新たに荷物の引渡しを受ける着荷主の行為を規制対象に加えました。納品を受ける小売業者や製造業者などが、運送以外の役務や経済上の利益を提供させたり、運送内容の変更、やり直しをさせたりして発荷主の利益を不当に害する行為を禁じるものです。発荷主とは、その着荷主に商品を納める供給側の事業者を指します。運送、保管費用の変動が生じた際に物流事業者からの価格協議に応じず、一方的に代金を決める行為も不公正な取引方法として明記しました。
これまで物流の取引適正化は、運送を発注する荷主と運送事業者の関係を中心に議論されてきました。今回の改正は、納品先の都合で生じる荷待ちや無償の荷役といった、契約の当事者でない着荷主が起点となる負担に踏み込んでいます。現場で長時間の荷待ちや無償の附帯作業が生じる場面では、運送を発注した荷主ではなく、荷物を受け取る側の都合が原因になることが少なくありません。告示名が当初の「委託する場合の」から「委託する場合等の」に変わったのは、この着荷主規制を取り込んだためです。今後の動きが注目されます。