物流よろず相談所

現場改善は2Sの徹底から

2019年7月10日

物流よろず相談所 

 

前回も取り上げましたが、物流業で大事な2Sをいかに改善につなげていくか、まずは小集団活動においてこの2Sである整理整頓を現場に徹底させることが重要です。大事なのが整理、整頓です。これを怠ると、業務にすぐに支障をきたします。整理とは、不要なものを廃棄する事です。整理の目的は現場には仕事とは無関係な物や、即必要のない物などがあふれており、(現場のムダ、ムラにつながるもの!)これらを整理し、効率化することです。

「整理」とは現場の業務には「不必要な物」を排除する活動とも言えます。「必要な物を」、「必要な時に」、「必要なだけ持つ」ことで、ムダも減らすことができます。当然貴重な時間や労働力の短縮につながります。

次に整頓です。整頓の目的 (計画的に並び替える)は、顧客の立場、社員の立場から「探すムダ」、「取りにくいムダ」、「戻しにくいムダ」を排除する活動です。実際、現場には、探すムダが大変多く、これを解消するのが作業の標準化です。整頓はムダを取るために大事な改善でもあるのです。いつでも誰でも、すぐ同じ事ができる事が、現場においてはとても重要なことです。整頓における標準化とは、『物の置き方』の標準化とも言えるでしょう。

この整理整頓を徹底させることで、ムダがなくなり、高いレベルでの標準作業時間や手順が制定できます。これがIEです。この標準化を進めることが改善のためには重要なのです。これは前回にも説明させていただきました。

では具体的にどのように小集団活動を通じて進めていけば良いか、その方法を検討してみましょう。まずは、5Sの効果と目的をまず学習し、導入手順とスケジュールを組むことです。現場において整理・整頓でムダの排除を行なわせること、いわば大掃除みたいなことを現場でやってみて、業務に必要のないものは徹底して廃棄させることです。

次に必要なものは、誰でも明確にわかるように、整頓させること、それがおわれば清掃ときれいな状態を保つ清潔を維持させ、そしてそれらを自ら行うように訓練する「しつけ(躾)」の真の効果を認識させましょう。このようなスケジュールを現場において、定期的に実施させることが大事です。定期的に続けておかねば、やがて業務のあちらこちらにサビが発生し、機能しづらくなって行くに違いありません。徹底できている現場とそうでないところの違いは皆様もすでによく御存知の通りです。

2019年もほどなく折り返し点を迎えたこの時期、目指してきた目標と現実に差異が生じていないか、確認を行なう良い機会でもあります。いくつかある目標の中でも重要なものは、業績と密接にかかわる種類のもの。今後の売り上げ目標や需要予測など金額を明確にしてあるものに関しては、達成度合いによって計画内容を変更していかねばならないものも、出てくるかもしれません。

近年これら目標管理にも、S&OPのKPIを用いる企業が増えて参りました。経営者であればせっかく立てた目標金額をどうしても達成したいと思うのが当たり前。その際S&OPのシステムを、うまく活用できれば目標金額を、経営→管理→現場、とトップダウンで確認でき、物が計画に沿ってスムーズに流れるパターンも実現しやすくなっていくと思われます。企業の計画や目標は、あくまでも利益を出す、という明確な目的を持つものでなければなりません。これまで年頭や年度始めに立てた目標が、最終的にはそれと大きく乖離した結果で終っていた、という経験、お持ちではないでしょうか?サービス品質等はともかく、金額に重きを置く経営の目標を立てる際は、S&OPに沿った方が、軌道修正もやり易いかもしれませんね。

豪雨や台風などによる災害、そして猛暑と、物流企業にとっても非常に酷なあの季節が、再びやって参りました。皆さまの苦しくも貴重な被害の記憶・体験を御自身の明日からの業務に生かし、この夏との戦いをぜひ乗り切っていただきますよう、心から願っております。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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