物流よろず相談所

“現場に帰ること”を忘れない

2020年1月29日

物流よろず相談所 

 

コロナウィルスの影響は留まるところを知らず拡大の気配を見せています。SARSに揺れ動いた以前を思い出します。これまで世界同時不況や東日本大震災、様々な自然災害を経て、日本がようやくたどり着いた“現在”、産業界を取り巻く環境は日々変化を続けています。新たな年号である令和の始まりが穏やかであれ願うのは私だけでしょうか。

産業界とりわけその中枢に位置する物流業界においては、再び転機とも言える動きが着実に進みつつあるようです。あくまで国内物流に目を向けた場合の傾向として容易に思い浮かぶのが、まず大手同志の再編の後に訪れる「共同輸送ネットワーク」現象でしょうか。かつての路線事業から、物流子会社・流通業への移行傾向がゆっくり定着してきた今、必然的にたどり着いたスタイルとも言えます。(背景にある環境問題やコスト問題は、いわば潤滑剤のようなものだったのかもしれません。)

景気回復を願えば、さらに増える物流量に対応すべく、より効率を求めた形態を構築しておく必要があります。物流子会社はもちろん、荷主流通業経営者の皆様は今後もこの“いかに効率よく利益を生むか”で思い悩み続けねばならないはずです。ただいかなる有効な経営戦略も、肝心の利益を生み出し手くれる現場が動いてくれぬことにはムダに終わってしまうでしょう。市場に本格的な活気がよみがえる前に、やっておくことがあるはず―、賢明な経営者達はすでに勇気ある改革へ舵を切り始めています。前進戦略の御参考までに、成長企業の舞台裏を少し覗いてみましょう。

収益向上を目指す上で、条件反射のように浮かび上がるのがまず“収支日計”と“現場のカイゼン”であります。売上の日別管理に関しては、その確実な成果の割に導入していないところもまだ多いようです。“変動の多い運行三費”や、“定着しないドライバー”といった問題を抱える運送会社にとっては“やってられない”作業に思えるのかもしれません。経営者の目指すものが、会社の単なる“存続”か、その先の“躍進”かによって、これは導入を判断していただくしかないでしょう。面倒な収支日計を管理するシステムも、近年多く開発されています。“長年の貴重な経験と勘”にもそろそろ強い武器を加えたい―、とお考えの方、お調べになる価値はありそうですよ。

さて、現場のカイゼンについては、言うまでもなくそれなりに実施されている企業も多いことでしょう。ただ、なかなか“上手く行かない”とのお言葉もよく耳にするのは何故でしょうか。一口にカイゼンと言っても、そのマニュアルは有って無いようなもの、つまり100の現場には100通りのカイゼンがある、ということです。しかも同じ職場でも人が主役である以上、時がたてば問題点は変化してゆく、よってカイゼンも見直しを続けて行かねばならないのです。他の企業の現場から積極的にカイゼン手法を学ぶ、真似る、というのも大切でしょう。

従来の“5S”に3S(セーフティ・スマイル・スペース=空間)を加えた8S運動を展開し、さらに現場に「不安全見本」の写真を貼り出し注意を喚起している企業もあります。もちろん優秀な現場や人を定期的に表彰することも忘れません。またある会社では、いまやコスト削減の代表とも言えそうな自動倉庫やフォークをあえて取り払い、機械に依存しない頭を使う現場作りでムダを減らすことに成功しました。これらの実例を拝見していると何やら共通点が見えて参ります。それは会社全体が同じ空間にあって、ひとつの方向を向き進んでいる、ということです。トップから現場へ、或いは職場の仲間同志で何やらまとまった力の強さというものを感じるところがあるのです。やはりここでも“物流業は人が命”という出発点に戻らざるを得ないようです。月並みな結論かもしれませんが、新たな年度の始まりに向い初心にかえる、という理由で何卒御容赦下さいませ。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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