徒然日記

「要石」と「捨石」

2021年9月29日

『徒然日記』 

 

以前に、この「徒然日記」で、ケント・ギルバートさんの話をしましたが、その後彼が<YouTube>の「ケントチャンネル」で「要石(かなめいし)」の話をしていました。「アメリカ人なのに『要石』の事などよくご存じですね」と思いましたが、そのことへの言及は置いておき先に進みます。

その際の発言は「バイデン政権の要石は誰か?」と言う解説でしたが、ケントさんに後れを取ってはいけないと、私も「要石(かなめいし)」のことを調べました。

手抜きで申し訳ありませんが、ネットで調べた辞典によると【要石(かなめいし)は、茨城県鹿嶋市の鹿島神宮、千葉県香取市の香取神宮、三重県伊賀市の大村神社、宮城県加美町の鹿島神社に存在し、地震を鎮めているとされる、大部分が地中に埋まった霊石】が本来の意味のようですが、転じて【煉瓦造りのアーチの最頂部に差し入れて、全体を固定する楔形 (くさびがた) の石。キーストーン。剣石。楔石。トンネルやアーチなどの構造物において全体を支える要となっている石。かけては成らない要素。】となっていて、さらに「ブリタニカ国際大百科事典小項目辞典の解説」によると【建築用語。アーチ,ボールトの頂部を飾る迫石 (せりいし) 。アーチの両側の力の持合う部分で,壁面から突き出していることが多く,また装飾的な彫刻が施されているのが普通である。アーチやボールトの安定性はこの石にかかっており,これを抜取るとくずれるのでこの名がある。】

と言うことでした。

特に古代の西洋建築の「窓」や「出入り口」でよく見かけますが、左右のアーチ部分の頂点にあるくさび形の石のことですね。

前述のケントさんは、「バイデン政権における要石は誰か」を論じておいででしたが、皆さんの会社でも「要石」に相当する方がおいでになると思います。もしかして「それは私です」と密かにうなずかれた方がおいでではないかと思いますが、ケントさんは、「それは、社長とか要職にある人ではなく、例えば『テレフォンセンターの受付オペレーター』のことです」とおっしゃっておいででした。

そういえば、テレビの画面で、「通常は2万円。今から30分以内にお電話を頂ければ<9,980円>さらにもう一個サービス」などと大声を発している方が売上に貢献しているように思いますが、「ケント流」に申しあげると、その説明役ではなく、その際の<0120・・・>で注文を受けている「オペレーター」の方が「要石」だということです。

物流業においても、同じようなことが言えると思います。昨今のコロナ禍や、冬季の豪雪時期における集配問題もありますが、そうした状況下で、確実に業務をこなす「ドライバー」の方が「要石」ではないかと思います。

私の経験から申しあげますと、ドライバーの方は「運んで・届けて、はいおしまい」のケースが多いように思えます。「あたらしい物流ネットワークを構築した」「新たなコンピューター・システムを導入した」「適所に物流基地を築いた」・・・。そのような「大仕事をした人」にスポットライトが当りがちですが、日々配送先や顧客の方々と、仕事上で直接接して、いろいろなことを肌で感じている「ドライバー」の人達を、「要石」と見立てて、その思いを吸い上げることが、明日の物流に通じるのではないかと常々思い、あちらこちらでその話をしているのですが、私の思いはなかなか届いてはいません。

「それでは、あなたはご自分を『要石』だと思っておいでですか?」と問われれば、即座に、「いいえ、私は『すていし』です」とご返事をしています。

と・・・そこで、「一寸待てよ」と考えました。「すて‐いし」【捨石/棄て石】。再びネットで辞書から学びました。

私は「道ばたや野原などの転がっている“石コロ”」を頭に描いていましたが、様々な位置づけがありました。

日本庭園でよく見かける「庭石」。あれも一種の「捨石」です。しかし、かの有名な「竜安寺の石庭」。わずか75坪の白砂の庭に配されている15の石を「捨石」などと表現したらバチが当たります。「あの庭は哲学的な庭であって鑑賞するものではなく、瞑想にふける場所」なのだそうですので、一緒にしてはいけませんね.バチが当たります。それぞれに深い意味を持つ「景石」です。

私が申しあげた「捨石」とは、そちらの方ではなく「鉱山や炭鉱で捨てられている価値のない石。『ずり』とか『ぼた』と言われている方です。

ところが、囲碁で「自分の形勢を有利にするために、相手に取らせるよう打つ石」を「捨石」と言います。転じて、「今は無駄に見えるけれど、将来それが実ることを見越して、一見無用に見えるような行為・行動をすること」も「捨石を打つ」と言います。

と、書いてきて「私は囲碁の方の意味での『捨石』になるようなことをしてきただろうか?」と反省しています。

せめてどなたかから「あなたの置かれた石(例えばこの「徒然日記」)から、あれこれを引き出しています」と言われてみたい思いがしますが、やはり「ずり」や「ぼた」の方でしょうか?

最後になりましたが、私の大好きな「砂ぎも」。またの名は「砂ずり」です。当国際物流総合研究所近くの「焼き鳥屋」に良く買いに行きますが、何故か「砂肝」だけはほとんど売り切れで、予約をして手に入れて居ます。

砂肝は「高タンパクで低カロリー。ダイエット中でも安心」と言うことですが、「コレステロールは高めなので要注意」ですのでお気をつけください。

ということで、「自分は『どちらの方の石』だろうか?」と考えました。皆さんはいかがですか?

著者プロフィール

小泉武衡

職歴
 元 寺田倉庫株式会社 取締役


1964年より「物流業」に携わり、変化する“各時代の物流”を体得するとともに、新たな取り組みとして「トランクルーム」や「トータル・リファー・システム(品質優先ワイン取扱い)」事業に力を入れてきました。さらに、営業・企画・渉外・広報棟ほか、倉庫スペースを利用した「イベント事業責任者」などを歴任し、旧施設の新たな活用、地域開発、水辺周辺の活性化に尽力してまいりました。

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