物流よろず相談所

効果的な人材募集とは(その2)

2026年3月4日

『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志


募集のための、広告やハローワークへの効果的な掲示方法について考えてみましょう。職業安定所(ハローワーク)を訪ねてみると、運送業の求人広告が多く出ており、同じようなドライバー募集が掲示されています。そこで自社にだけ特別な注目をあつめる取組みが必要ですが、そのためにはまず募集掲示広告はできるだけ詳しく記載し、入社すればどのような明るい未来がまっているかを理解させる内容が含まれていなければなりません。また使用するトラックの種類、仕事内容もできるだけ具体的に記載すること、例「大型トラックドライバー、日帰り可能」、トラックの種類(小型、中型、大型/ダンプ・タンクローリー・トレーラー・ウイングなど)や1日の走行距離(近距離、中距離、遠距離)、配送件数 など会社のホームページやSNSページなど身近な内容を盛り込むことも重要なポイントです。

次に募集媒体ですが、これまでの求人誌や折り込み、インターネットなどに加えてSNS活用が効果的であると言われています。若年層を主なターゲットに募集を行なおうとする時、現在主流となっているのはやはりSNSの活用でしょう。従来の採用方法では若年層へのアプローチが難しくなる今、SNSを戦略的に活用することで採用率を大幅に向上させた企業が増えています。運送業界特有の課題を踏まえたSNS採用の導入方法から成功事例、実践のステップまで見てみましょう。これまでの運送業界における採用活動は、ハローワークや求人サイト、求人広告などが中心でしたが、これらの手法には明確な限界が見えています。若年層の情報収集行動が変化し、求人サイトよりもSNSで情報を得る傾向が強まっているのです。運送業ドライバーには「きつい・厳しい・給料が安い」といったネガティブイメージが定着しており、このイメージを払拭する効果的な情報発信が難しいという問題もあります。

また、求人情報だけでは会社の雰囲気や実際の仕事内容が伝わりにくく、入社後のギャップによる早期離職も課題となっていることもあります。また中小運送会社においては採用コストの高騰も大きな負担です(人材紹介会社の手数料は採用者の年収の30%以上が相場)。SNS採用が運送業界で注目される背景にはいくつかの明確な要因があります。まずZ世代(1990年~2010年生まれ)・ミレニアル世代(1980-1995年生まれIT革命と共に成長、仕事よりプライベート優先傾向あり)のSNS利用率の高さが挙げられます。総務省の調査によると、かれらの休日のSNS利用時間は全世代平均の47.4分を大きく上回り、100分~数時間に及ぶことも報告されています。特に若年層は就職・転職活動においてもSNSを重要な情報源としており、マイナビの調査では新卒学生の68.2パーセントがSNSで就職活動関連情報を収集していることが明らかになっています。

SNSを上手く活用すれは若年層に対する運送業界全体のイメージアップが期待できます。社会インフラを支える重要な役割や地域貢献、多様な働き方などのポジティブな側面を効果的に発信する手段として、SNSは最適なプラットフォームになるでしょう。基本的に無料で始められるSNS運用は、中小運送会社にとって採用コスト削減の効果が期待できるだけでなく、社員定着にも効果があるとされています。社内の取り組みをSNSで発信することで現職ドライバーのエンゲージメントも向上し、社員からの紹介採用が活性化する効果も期待できます。

SNSを活用した採用活動は、求人情報の発信だけでなく、企業の魅力や文化を伝え、潜在的な候補者との関係構築から採用までを一貫して行うアプローチで、運送業界特有のメリットも多く存在します。話が前後しますがSNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは、FacebookやX、Instagram、LINEなどのSNSプラットフォームを活用して人材を発見し、採用につなげるプロセスを指します。SNS採用では、求人情報の発信だけでなく、企業文化や職場環境の紹介、現役ドライバーの声や日常の共有、ドライバー志望者とのコミュニケーション、採用イベントの告知など、多角的なアプローチが可能です。運送業界のように、実際の業務内容や社風が外部からはわかりにくい業界では、リアルな企業の姿を 伝えることでミスマッチを減らし、価値観の合う人材とのマッチングを図ることができます。またサイトで若手ドライバーの活躍を積極的に紹介することで、自分も頑張れそうという親近感や具体的なキャリアパスのイメージを持ってもらうことができます。

会社への社員満足度が高まると、社員による紹介制度が定着し、多くの採用につながるケースも出ています。最近ではこれまでの募集のあり方にSNS対応やインターネット広告を活用したIndeedプラスやわがまま採用など多様な募集方法も出ています。自社に合った募集方法の検討も大事なポイントです。加えて、ハローワークや各種団体が実施する採用のイベントの活用も効果的です。参加者は多くの企業から選択できるメリットがあり、募集企業側での直接会って自社の取組みや魅力をアピールできるメリットもあります。直接会うことで疑問点やお互い確認できるなど効果的な採用にもつながるでしょう。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

無料診断、お問い合わせフォームへ