物流よろず相談所

物流企業における管理業務の重要性

2026年6月3日

『物流なんでも相談所』
岩﨑仁志


2025年からの日本は超高齢社会に突入しました。全国で800万人もの団塊の世代が後期高齢者に加わり、国民の4分の1が高齢者となる、など労働人口の減少と共に、医療、介護、福祉など社会保障費の増大が懸念されています。

物流業界においては労働時間の制限が強化された2024年4月以降、2025年問題(企業が使用しているシステムの一斉老朽化への対応等)や、2026年問題とされる改正物流法、2030年に迎える深刻な高齢化(人口の3分の1が65歳以上)によりさらなる人手不足・輸送力不足が懸念され、問題解決に向けた対応が待ち構えています。

2026年の改正物流効率化法によって、物流企業は荷主との関係において「単なる運送の下請け」から、経営課題を共同で解決する戦略的な連携パートナーへと転換する必要が出ています。これは2026年4月施行の改正物流効率化法により特定事業者(取扱貨物量年間9万トン以上の荷主・連鎖事業者、車両150台以上の貨物運送事業者、70万トン以上の倉庫事業者物流事業者)に、物流効率化などの法的義務が課せられることも背景にあります。

今まさしく大規模転換期のさ中にある物流業界において、4月施行の改正物流効率化法への対応は新時代への登竜門とも言えるものと考えられます。特定荷主を持つ場合、自社が特定貨物運送事業者に該当する場合、法改正によってどのような取組みをする被通用があるかを理解し、荷主へのサポート体制を先導させて整えようしなくてはなりません。

自社ならではの付加価値を物流商品としながら、荷主にとって失いたくないパートナーになることが理想です。そのためには1.提案型パートナーシップへの転換すること、荷主の法的対応に対し、具体的な改善策を提案したり、物流統括責任者(CLO)の相談役となったり、荷主とKPI(重要業績評価指標)を共通化するなど取組み強化が必要となるでしょう。2.次に事業継続の観点からBCPの策定、サプライチェーン全般の回復力を高めることも必要です。災害時はもちろん緊急時の供給の停滞を避けるためにもデータの可視化に基づき物流を最適化し、サプライチェーン全体の流れを荷主と共有しておくことも不可欠です。        

このようなさなかにあって会社を適切に導くには羅針盤となる管理体制が正しく機能することが必要です。管理部門の役割とは何かを今一度考えてみたいと思います。管理部門とは、主に経理、人事、総務などの職種で構成される、企業運営をサポートする部門を指します。経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の管理を通じて、営業や製造などのフロント部門をサポートしたり、経営陣へ意思決定のための情報を提供したりすることが主な役割です。では管理する管理者に必要な能力は何でしょうか?①収益管理能力(物流コスト管理、予算計画策定等)、②労務管理能力(労働法や派遣に関する法知識)、③問題抽出能力(改善に結びつける)、④データ分析能力(財務諸表読取り能力も)などです。加えて法令の知識(運送・保管の他、消防法や国際条約等)必要となるでしょう。

もっとも欠かすことのできないのは人材育成能力です。物流企業は人材で決まると言っても過言ではありません。人手不足の深刻化が進み、そこから物流の自動化、省人化が進展を続ける現代社会や周辺の状況に合わせるように物流の形も変化してきています。拠点整備や物流の共同化もさらに進むことが予測される今後、現場をまとめる管理者の役割は今以上に大きくなっていきます。少ない人をうまく活かし、生産性や物流品質の向上を実現していくためにも、現場の組織力を強化できる幹部の力は従来のマネジメントは現状の物流クオリティを守り続けることが大切です。これからの物流サービス内容は環境変化への適応が求められます。現場においても変化を促し、物流全体が抱える課題を理解させた上で、その解決と適応を進めていく役割が今のマネジメント不可欠です。

ダーウィンは、最も強い者や最賢い者が生き残るのではない、唯一生き残れる者は変化できる者である、と言っています。物流企業は時代に合わせて変化しなければなりません。そのため管理部門は経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の管理を通じて、経営陣に意思決定のための情報を提供することが役割です。例えば、人事部門が従業員のパフォーマンスや退職率を分析し、採用や人材育成の計画を立案することで、経営陣による人員配置や予算編成の意思決定が容易にできるようデータを提供することなども必要です。加えて各営業所や営業、マーケティングなど、売上に直結するフロント部門が本来の業務に集中できるよう、間接的にサポートすること、例えば、経理部門が売上・支出を集計し、月次報告を作成することで、営業部門がタイムリーに財務状況を把握することができるようになる、総務部門は、オフィス環境の整備や契約書管理を通じて、各部署が業務に専念できる環境を整えるなど多様な責務があります。

物流企業には多くのリスクがあるが、それを回避する上で重要なことは、コンプライアンス(法令遵守)であり、企業が法的な義務を遵守してリスクを最小限に抑えることも、管理部門の役割の一つで、法務部門が契約書のレビューや新法対応を行うことで、法的リスクを軽減することにつながります。管理部門が存在しなければ、売上に直結するフロント部門が本来の業務に集中できなくなり、経営や事業拡大に悪影響を及ぼすことになります。大企業では、経営資源が豊富で管理部門が充実しやすい傾向があります。中小企業ではコスト削減のために管理部門が小規模になりがちだが、事業拡大のためには管理部門の充実が必要不可欠です。強い管理体制を持つ物流企業が勝ち残ることになると考えます。

著者プロフィール

岩﨑仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

得意分野

  • 3PL
  • マーケティング
  • ドライバー育成
  • 人材教育
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