新年度の雇用促進助成金について
2026年7月8日
労務管理ヴィッセンシャフト vol.48
野崎 律博
◆はじめに
早くも7月になりました。雨の日も多く若干涼しい日が続いているとはいえ、梅雨が明ければすぐに暑い夏です。今年も熱中症が危惧される季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて今月は令和8年度の助成金について、述べたいと思います。よく助成金というと、返済無用とか経理上の処理が雑所得勘定で、全額利益計上するメリット等を耳にすると思われます。今年の助成金は主たるものは昨年度とほぼ同様といえるものの、随所に改正がございますので、その点に触れたいと思います。
今年度の助成金の大きな特徴としては、高齢者の雇用継続や処遇改善に関する助成金です。具体手には65歳超雇用促進助成金の各コースの助成金額が、大きく引き上げられております。昨今若年層の人材不足が指摘される一方で、高齢者の雇用延長や定年の引上げを検討される事業者の方が増えております。物流業とりわけ運送業においては、ドライバー不足も相まって、高齢者の方の雇用も増加していることと思われます。
令和8年度の雇用関係助成金の一つである65歳超雇用推進助成金には、3つのコースがあります。①高年齢者評価制度等雇用管理改善コース(以下「高齢者」を略します)②無期雇用転換コース③無期雇用転換コースの三つです。各コースにおける助成金額の引上げや加算制度の追加等が行われている点にご注目いただければと存じます。例えば継続雇用促進コースは最大140万円から240万円へと大きく引き上げられております。
◆改正・65歳超雇用促進助成金について
各コースの概略を説明いたします。一つめは高年齢者評価制度等雇用促進コースです。こちらは定年の引上げや定年制度の廃止、又は継続雇用年齢の引き上げを実施した場合に支給される助成金です。
前提ですが企業は高年齢者雇用確保法において、従業員の65歳までの雇用確保義務が課せられております。定年は60歳でも法令違反とはなりませんが、60歳から65歳までの間について、嘱託雇用等の雇用確保義務があります。また努力義務として70歳までの定年引上げ、または定年制度の廃止、70歳までの雇用継続制度等、いずれかの措置を講じるよう努める必要があります。
雇用管理改善コースの話にもどしますと、定年引上げで助成金を受給するためには、現在の定年年齢を60歳から70歳までとなっているが、これを70歳以上に引き上げる場合が対象となります。あるいは定年廃止でもよいのですが、ハードルが低い方はといえば前者になると思われます。その他細かい要件もございますが、それらは厚生労働省ホームページ等をご参照いただければと存じます。
二つめは高年齢者評価制度等雇用管理改善コースです。こちらは高年齢者の雇用促進を目的とした雇用管理制度の整備・導入を行った事業主が対象となります。雇用管理制度とは、賃金制度や人事処遇制度、労働時間制度、高年齢者向け専門職制度などが該当します。例えば高齢者向け専門職制度として、長年の経験蓄積を生かして、若年従業員へ指導を行う等の職を新たに設け、高齢者雇用促進を推進する等の方法が挙げられます。
三つ目は無期雇用転換コースです。こちらのコースは現在有期雇用されている50歳以上かつ定年年齢未満の従業員を無期雇用へ転換することが要件となります。申請方法として、無期雇用転換計画書に必要書類を添えて、無期雇用転換計画の開始日の6か月前の日から3か月前の日までに提出する必要があります。
その他様々な要件がございますが、詳細は厚生労働省ホームページをご覧ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html
◆最後に
昨今、運送業のドライバー不足にみられるような人材不足が、各業界においても顕在化しつつあります。会社によっては定年制度があっても、事実上無期雇用の扱いとなっている個別事案を多く目にするようになりました。人材不足や仕事や技術の継承に、高齢者が活躍する場があるのであれば、高年齢者雇用促進制度を導入することで人手不足を解消し、かつ経費の一部を助成金で賄うことも一つの手ではないでしょうか?