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日立物流・新中期経営計画 ビジネスエコシステムの形成へ

Daily Cargo  2019年5月27日掲載

 

日立物流は先月24日、2019年度(20年3月期)から21年度(22年3月期)を対象とした新中期計経営計画を発表した。最終年度となる21年度の目標数値は、売上収益が18年度比(19年3月期)比1.5%増の7200億円、EBITは10.5%増の400億円とした。物流、情流、金流、商流の「4流」を束ねたサプライチェーンをデザインし、「Global Supply Chain Solutions Provider」を目指す。コア領域の強化と協創を通じ、ビジネスエコシステムの形成まで視野に取り組む。

新中計では、同社グループが最も選ばれるソリューションプロバイダに向け、「LOGISTEED」が掲げる姿への変化、進化を目指す。同社グループと協創パートナーも含めたデジタライゼーションを推進し、オープンプラットフォームを構築。物流領域を基点/起点としたサプライチェーンを実現する。

新中計には、「IoT(モノのインターネット)」「AI(人工知能)」「ロボティクス」「フィンテック」「シェアリングエコノミー」といった技術の進化・社会の変化に加え、デジタル化の進展でサプライチェーンの構造が大きく転換していることが反映されている。日立物流グループはブランドスローガン「未知に挑む。」とビジネスコンセプト「LOGISTEED」を掲げ、機能としての物流強化(スマートロジスティクス)を中核としながらも、事業・業界を超えた競争領域の拡大を図ってきた。「LOGISTEED」は「LOGISTICS」と「Exceed」「Proceed」「Succeed」「Speed」を融合した言葉であり、ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく意思を込めている。

最終年度の目標数値は、売上収益は18年度比1.5%増の7200億円、調整後営業利益は15.4%増の360億円、調整後営業利益率は0.6ポイント増の5.0%。また、EBITは10.5%増の400億円、EBITマージンは0.4ポイント増の5.5%。ROE(自己資本利益率)は10%超(18年度は10.7%)とした。各種施策で新たな成長機会を獲得した場合の売上収益目標は8000億円とした。

中計期間中の戦略投資額は約860億円。具体的な使途は①デジタルトランスフォーメーションの推進、IT(情報技術)基盤構築②新技術開発③新事業開発④人財・安全など⑤M&A(企業の合併・買収)・資本政策--とする。①ではビッグデータマネジメントの導入、②ではR&D(研究・開発)や事業化検証、③ではスマートウェアハウスやスマート運行管理システム(SSCV)などに投資する。

オープンイノベーション関連では今年1月、英国サンダーランドにイノベーションセンターを開設した。新中計では東京でのイノベーションラボ構想も明らかにした。顧客・パートナーとの協創エリアとし、同社グループの価値や「LOGISTEED」を発信。イノベーションを生み出す人財育成を進める。

コア領域の物流領域では競争力・収益力を強化しながら、パートナーとの協創も通じて、強いビジネスモデルを持つ事業領域を拡大。相互の持続的な成長と企業価値向上を通じ、新しい領域に踏み出すエコシステムの形成まで目指していく。


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