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コロナ対策、全社組織で“超”徹底 / 困窮の学生向けに奨学金制度創設

物流業Now!(5)
ILRS&NEWS (Vol.519)
 

ダイワ運輸株式会社 木村専務

 新型コロナウイルス問題が起こってから御社が取り扱う貨物量に変化はあったのか。

(木村専務)メーカー系の貨物は、大手メーカー工場の稼働日数が減った分、取り扱いも減ったほか、外食産業も減少した。ただ、当社の取扱量の約半分を占める宅配貨物は、外出自粛で通信販売が伸びたため、荷動きも伸びた。当社として全体的にみれば貨物量は前年同月比6~8%減だったが、燃料費が下がっているので利益はこれまでのところ前年並みを確保している。ただ、この先をみると景気回復が遅れそうなので、楽観視できない状況ではある。

― 新型コロナ問題に対して御社はどのような対策をとったのか。

(木村専務)新型コロナの国内感染が報道され出した2月末からマスク、消毒液の確保に乗り出し、4月からは社長を総括にパート、アルバイトも含めた危機管理体制の全社組織を立ち上げ、それぞれの立場で感染予防策の役割、即時報告の徹底をはかった。マスク必着、手洗い徹底、消毒液の各所設置はもちろん、カウンターのビニールシート、非接触型体温計を設置し、事務所はスクリーンで仕切って空間除菌を噴霧して行うなどした。万が一、当社から新型コロナが発症したら信用問題になるということで、グループ全体、感染防止でできることは徹底的に行った。

この体制は第2波の懸念もあるため現在でも続けており、客への不要不急のアポは取らず、アポなしの来客はお断りしている。マスクは10万枚在庫を備え、1年間は対応できる。また、夏場になってマスク着用による熱中症の発生を回避するため、2m以内に人がいない場合は外してもよいなど新たなマニュアルを作ったり、温度が上がらないようマスク中に入れるプラスチック製の空間帯を全社員に2つずつ配布などもしている。

― 新型コロナが発生する前と後では、採用などの人手事情に変化はみられたか。

(木村専務)私は新卒採用を担当しており、大学生の状況を言うと、就活が自粛明けからで例年より2か月ほど遅れていることと、大企業が採用をかなり絞っているようで、当社にも7月ごろから訪問が増えてきた。例年4人ずつ採用しており、今年も既に4人内定したが、もう少し採れそうなので、採用活動を継続している。応募者の男女比率は7対3で、女子の方が多い。中途採用は直接担当していないが、聞くところによるとドライバーなどの応募者はかなり増えたが、即戦力や研修すれば使えそうだという人材が少ないようだ。面接しても採用成功率が下がっているという。

― 働き方改革や人材教育などの取り組みについてお聞きしたい。

(木村専務)働き方改革については、新型コロナ以前から労務管理に力を入れ、社長自ら理由の如何を問わず規定時間のオーバーは認めないと指示を出して取り組んだ。この結果、社内でやれることはかなり改善された。横持ちなど外部の協力がなければできないことは顧客にお願いして、それでも聞いてもらえない場合はやめさせていただいている。

本社主体の社員教育は、基本的に2カ月に1回のペースで行い、安全運転教育は年2回外部講師を招いて行っている。新人教育は別途行っている。ただ、新型コロナ後は一部滞っている。

― 新型コロナは当面、根絶されそうにないが、ウィズコロナ時代への方針や計画についてお聞きしたい。

(木村専務)業務面では、現場はなかなか難しいが、リモート改革できる業務は漸次進めていく。昨年10月からデータプラス社と共同で開発した「指示楽ネット」でドライバーが手書きする日報のスマホ転送をやっているが、ドライバーは不要不急の事務所訪問をしなくて済み、事務員との接触が減っている。今後は別室からリモート点呼なども検討していく。事務効率化ではタイムブレイン社と共同で開発した「パルテノン」で受注から配車までの諸業務を連係、運行距離も計算できてその日のうちに精算できるようにしたが、このシステムを他へも売り込みたい。営業面ではこの先の不安はないわけではないが、慎重に事業展開をしながらも新型コロナで方針が変わることはない。車の更新も一通り終わっている。

― 御社にとって近況で何か特筆すべきことがあれば教えてほしい。

(木村専務)学生が新型コロナの影響で仕送りが滞ったり、アルバイトができなくなり経済的に困窮しているのを鑑みて、ダイワ運輸グループとして6月に学生向け奨学金制度を創設した。定員は20名で、上限月5万円を卒業まで無利子で貸与、卒業して2年以内にダイワ運輸グループに入社した場合は返済を免除するというものだ。既に各大学に案内し、ホームページやフェイスブックに掲載したほか、地元の神戸新聞にも取り上げられた。

(聞き手:葉山明彦)


ダイワ運輸株式会社
神戸市西区玉津町水谷410

取締役専務執行役員 木村 溶徹
ホームーページ http://daiwa-exp.co.jp/

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