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アマゾン 自社物流網を外部企業に提供 3PLに本格参入

Daily Cargo  2026年5月8日掲載


米アマゾンは4日、同社の物流ネットワークを外部企業に開放する新サービス「Amazon Supply Chain Services(ASCS)」を開始したと発表した。貨物輸送から在庫保管、フルフィルメント、小口輸送までを一体で提供するもので、アマゾンのマーケットプレイス出品者に限らず、あらゆる業種・規模の企業が利用できる。自社EC(eコマース)事業を支えてきたサプライチェーン基盤を第三者向け物流サービスとして展開し、3PL事業へ本格参入する。

同社のピーター・ラーセンASCS担当バイスプレジデントは、「クラウドコンピューティング分野でAmazon Web Services(AWS)が行ってきたように、数十年に渡って実証してきたサプライチェーンサービスのインフラ、知見、そして規模を世界中の企業に提供していく」とコメントしている。

ASCSは、アマゾンが自社の小売事業向けや出品者向けに構築してきた物流サービスを外部企業にも広げるもの。同社は過去3年間で数十万の出品者に対してサービスを提供し、数億個の貨物輸送、保管、配送を手掛けてきたという。これまでは出品者向けのサービスだったが、ASCSでは対象をアマゾンのマーケットプレイスに限定しない。自社ECサイト、他のECマーケットプレイス、SNS経由の販売、実店舗向けなど、複数の販売チャネルを持つ企業の物流を一括して取り込む。

特に小売企業やD2C展開するブランドにとっては、複数販路の在庫を一元管理できる点が訴求点となる。アマゾンは、単一の在庫プールを活用することで在庫精度を高め、販売チャネルごとに分断されがちな保管・出荷業務を効率化できるとしている。

同社は対象業種に小売、製造、ヘルスケア、自動車などを挙げる。既にP&G、3M、ランズエンド、アメリカンイーグルなどが導入しているという。P&Gは原材料の生産拠点向け輸送や完成品の輸配送、3Mは製造拠点から物流センターへの輸送にアマゾンの物流サービスを利用。ランズエンドはアマゾンのネットワーク内で在庫を一元管理し、複数販路の注文に対応している。アメリカンイーグルは自社ECサイトの注文品配送にアマゾンの宅配網を利用している。

サービスは主に、貨物輸送(Freight)、配送・フルフィルメント(Distribution and Fulfilment)、小口輸送(Parcel Shipping)の3分野で構成する。貨物輸送では鉄道を含む陸海空の輸送モードを網羅しており、8万台以上のトレーラー、2万4000基以上のコンテナ、100機以上の航空機で構成されるネットワークが活用できるという。同サービスでは通関、予約手続きの簡素化、輸送可視化、時間厳守輸送などの付加価値オプションも提供する。

配送・フルフィルメントについては、海外からの輸入在庫の保管、需要地近接での在庫配置、複数販売チャネルでの出荷を単一ネットワークで提供する。AIを活用した需要予測や在庫配置最適化などのサービスも提供する。

小口輸送では、各販売チャネルの注文に対し、2~5日の配送リードタイム、週7日配送、集荷・持ち込み対応などを行う。さらに、ラベル作成から配達完了までの追跡、配送完了時の写真などの機能も提供する。

これらサービスの組み合わせや自社での物流業務の知見を生かし、繁忙期などピーク時や予期せぬ混乱時においても、顧客企業のサプライチェーンのスピード、信頼性、効率性の向上に貢献していくとしている。ラーセン・バイスプレジデントはまた、「サプライチェーンはアマゾンにとって単なる機能ではなく、卓越したショッピング体験を提供する上で不可欠なものだった。それが当社の差別化要因であり、他社には真似できない迅速かつ信頼性の高い配送を実現できた理由だ。構築してきたコスト効率、信頼性、そしてスピードを、他のあらゆる企業にも提供できると確信している」と述べている。


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