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英政府、ヒースローの第3滑走路を後押し 改定草案で貨物容量増強も重視

Daily Cargo  2026年6月23日掲載

英国運輸省(DfT)は18日、ロンドン・ヒースロー空港(LHR)の第3滑走路建設を支援する国家政策声明(NPS)の改定草案「ヒースロー拡張NPS」を公表した。英国最大の航空貨物拠点である同空港について、拡張により貨物取扱容量の制約を緩和し、英国企業の国際市場へのアクセス向上を後押しするとした。

■ 第3滑走路案を政策面で支援
NPSは、大規模インフラ計画の必要性や審査上の考え方を政府として示す文書。今回の草案は、滑走路新設を直ちに認可するものではなく、ヒースロー空港会社(Heathrow Airport Limited=HAL)が計画する北西滑走路新設案を今後の審査対象に位置付け、HALが提出する開発同意申請について、審査機関や担当閣僚が判断する際の基準となる。

具体的には、最大3500メートルの北西滑走路の整備、新ターミナルや既存ターミナルの再構成、関連インフラ、地上アクセス施設、幹線道路網の変更などが計画の対象となる。

英政府によると、LHRの2025年旅客利用数は8450万人で、英国全体の28.2%を占めた。同空港は英国唯一の主要ハブ空港として長距離路線、国内接続、貨物輸送を支えている。しかしロンドン圏の空港システムは、他空港の拡張を織り込んでも40年代半ばから後半に処理能力の上限に近づく見通しで、LHRは過去20年以上にわたり発着容量が逼迫した状態で運用されている。

■ 貨物容量不足が成長制約に
英政府は、LHRが貨物輸送でも重要な役割を担う一方、空港内の貨物取扱容量が限られ、物量拡大の制約になっていると指摘した。新滑走路や関連施設を含む機能拡張で、旅客便のベリースペース容量と貨物処理能力を高め、航空貨物量のさらなる拡大を図る考えだ。

草案は、航空貨物が英国経済にとって重要な役割を果たしていると指摘した。航空輸送が同国貿易に占める割合は重量ベースで1%にとどまる一方、高額品や医薬品、高度製造業関連品など、迅速な輸送が求められる貨物が中心となるため、24年の輸出入価額では約33%を占めた。

LHRは貨物取扱量でも英国最大の空港だ。草案によると、24年の貨物取扱量は160万トンで、国内空港全体の60%を占め、英国内の他のどの空港と比べても4倍超の規模となった。輸出入貨物の価額は2160億ポンド(約46兆円)に上り、英国空港経由貨物価額の72%を占めた。全輸送モードを含む同国の輸出入貨物価額全体でも、LHR経由が23%に達した。

■ 95%が旅客便ベリー輸送
LHR発着貨物の95%は、旅客便のベリースペースで輸送されている。草案は、同空港の広範な旅客便ネットワークが貨物輸送の基盤になっていると指摘。LHRはベトナム、マレーシア、台湾など複数の長距離市場に英国で唯一の直行便を持つ。

拡張後の55年時点で、英国全体の航空便数は拡張なしの場合に比べて年間21万7000便増え、うち長距離便は3万8000便となる見通し。長距離旅客便の増加に伴い、ベリースペース容量の拡大も期待される。

また草案は、ヒースローが10年以降、新型コロナウイルス禍の影響を受けた年を除き、年間150万トン超の貨物を安定的に処理してきたと説明。一方、英国南東部の貨物需要は堅調だが、LHRでは貨物取扱容量の不足が物量拡大を制約している。草案は、拡張によりこうした制約を緩和し、貨物量のさらなる増加につなげるとした。

LHRのウェブサイトによると、同空港は25年に2930億ポンド相当の貨物を扱った。世界230超の都市、85カ国・地域以上に広がるネットワークを持ち、空港周辺には50社超のフォワーダー拠点が集積している。同空港は貨物分野で、今後5年間に物量・市場シェア拡大と効率向上を進める方針も示している。


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