EUが関税制度大改革 仏に「関税庁」、単一通関データPF管理
Daily Cargo 2026年4月6日掲載
EUの関税制度の大改革の詳細が固まった。「EU関税庁」をフランス・リールに新設し、輸出入者が通関データを提出するEU共通のオンラインプラットフォーム(PF)、「EU関税データ・ハブ」を管理する。EU全体の単一窓口となるため、輸入が複数の加盟国にまたがる場合や複数回となるケースでも、データ提出は1回で済む。特定の厳格な要件を満たす事業者を「信頼・検査貿易事業者」に認定し、通関手続きを簡素化する。中国などからの小包を中心とする少額貨物の輸入急増への対策として新たな取扱手数料を設定し、購入者個人ではなくeコマース(EC)モールの運営事業者を輸入者と位置づけ、関税や付加価値税(VAT)の納付義務を課す。データ・ハブは2028年7月1日にEC事業者を対象に運用を開始。31年からその他の輸入者も利用可能となり、34年から全輸入者に利用を義務化する。
■1968年以来、最大の刷新
EU理事会が3月26日、EUの関税制度を抜本的に見直す改革法案について、欧州議会と合意したと発表した。「特に国境での確認が必須となるようなEU基準に照らすべき貿易の数量の急増や、厳しさを増す地政学的状況に対応する。EUはより現代的な手段を備える」(EU理事会)とし、新関税制度への刷新は「1968年のEU関税同盟創設以来、最大の改革となる」という。
EU関税庁を立ち上げ、輸出入者がやり取りする単一の通関データPFとしてEU関税データ・ハブを創設し、データの完全性、追跡可能性、関税の管理を強化する。同庁は各国の税関当局を支援すべく、データ・ハブに蓄積され、常時更新される輸出入データを分析し、優先検査対象となるようなリスクのある輸入貨物を識別する。優先的にコントロールすべき分野やリスク基準の策定をサポートし、EUレベルで関税のリスク管理を行う。データ・ハブの単一窓口に集約するため、輸出入者は同一の通関情報を複数の貨物に適用でき、加盟各国との個別の通関手続きが不要になる。
「信頼・検査貿易事業者」には通関手続きを簡素化する。貨物の移動やコンプライアンスなどの面を含む厳しい要件を満たす企業を認定し、一時保管やトランジットの手続きなどを簡便にする。最も信頼できる企業は税関当局の積極的な介入なしにEU域内で貨物をリリースできる。
■越境EC急増で新取扱手数料
EUに流入する少額輸入貨物に対して、新たな取扱手数料を導入する。課徴価額の水準は今年11月1日までに決める。最終消費者の購入者でなく、越境ECモールを通じてEUに商品を販売するEC事業者を輸入者とみなし、EC事業者が関税・VATの支払いの責任を負うことを明確化する。関税義務を体系的に遵守しないEC事業者への新たな制裁制度を導入する。
なお、EU理事会は昨年12月、150ユーロ未満の少額小包に今年7月から3ユーロの関税を課すと決定している。少額小包の中身である商品の関税分類に応じ、品目ごとに課徴される。同一小包に複数の品目が含まれると、品目ごとに3ユーロが課されることになるとみられている。米国のデミニミス制度の廃止と同様に、これまで関税を免除してきた一定金額以下の少額貨物からも徴収する。
欧州委員会は2023年5月、今回の関税制度の改革法案を発表した。同月時点で、EU加盟27カ国の通関窓口として計111の個別のインターフェースやITシステムが運用され、輸入者の業務負担が課題となっているとし、EU共通のEU関税データ・ハブと新たな専門機関となるEU関税庁の設置を公表。中国などから急増している越境ECの少額輸入貨物に対して関税を適切に課し、さらなる流入を食い止める狙いを明らかにしていた。
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